Vinyl Record Reviews
Isotopeは、1972年6月にギタリストのゲイリー・ボイルを中心に結成されたイギリスのジャズ・ロック/ジャズ・フュージョン・グループだ。カンタベリー・シーン周辺の流れと交差しつつ、マハヴィシュヌ・オーケストラやソフト・マシーンの影響を受けた先鋭的なサウンドで活動した。
メンバーには、ゲイリー・ボイル、ブライアン・ミラー、ジェフ・クライン、ナイジェル・モリスをはじめ、時期によってヒュー・ホッパー、ローレンス・スコット、フランク・ロバーツ、ダン・K・ブラウン、ジェフ・ダウンズらが参加している。
バンドの出発点は、ゲイリー・ボイルがブライアン・ミラー、ジェフ・クライン、ナイジェル・モリスと組んだ初期ラインナップである。1974年にデビュー作『Isotope』をガル・レコードから発表し、技巧的なジャズ・ロックで注目を集めた。
1974年3月にメイン作曲家だったブライアン・ミラーとジェフ・クラインが脱退し、2人は後にTurning Pointを結成した。Isotopeはゲイリー・ボイルを軸に再編され、元ソフト・マシーンの伝説的ベーシストであるヒュー・ホッパーやローレンス・スコットが加入した。
同年には2作目『Illusion』をリリースし、英米ツアーを成功させた。1976年には『Deep End』を発表。この時期にはフランク・ロバーツ、ダン・K・ブラウン、そして若きジェフ・ダウンズらも関わった。1977年、ゲイリー・ボイルがソロ活動へ移行したことで、Isotopeは活動を終えた。
Isotopeの核にあるのは、ゲイリー・ボイルの切れ味鋭いギター・プレイだ。ジョン・マクラフリンに通じる高速ピッキングと変拍子を用いたテクニカルなフレーズが前面に出ている。ギター主導でありながらも、キーボードやベースとの緊密なインタープレイによって楽曲が構築されている。
ヒュー・ホッパーが在籍した時期は、彼のトレードマークである歪んだファズ・ベースが炸裂し、カンタベリー特有の実験精神と重厚なグルーヴが加わった。ファンク、ロック、フリー・ジャズの要素がスリリングに交錯するアンサンブルが大きな特徴である。
『Isotope』は、バンドの端正な出発点を示す1枚だ。洗練されたアンサンブルとジャズ・ロック寄りの緻密な構成が光る。
『Illusion』は、ヒュー・ホッパーのファズ・ベースとボイルのギターが火花を散らす傑作だ。ハードで硬質なサウンドが際立ち、バンドの最も脂の乗った時期を象徴している。
『Deep End』ではメンバーの流動化が進む中、より多彩なアレンジが試みられている。後にバグルスやエイジアで活躍するジェフ・ダウンズの参加でも知られる。
Isotopeは、カンタベリー・シーンやブリティッシュ・ジャズ・ロックの文脈において欠かせない実力派グループだ。ソフト・マシーンやNucleus、マハヴィシュヌ・オーケストラからの刺激を受けながら、英国らしい実験性と圧倒的な演奏技術を提示した。1970年代の英国ジャズ・ロック/フュージョンの隆盛を語るうえで、重要な足跡を残したバンドである。