Vinyl Record Reviews
John Tropeaは、1946年1月7日にニューヨーク市で生まれたギタリスト、プロデューサーだ。ジャズ、ファンク/ソウルを軸にしながら、フュージョン、ジャズ・ファンク、ロック、ポップスの現場で活動してきた。1960年代末からニューヨークのセッション・シーンでキャリアを広げ、スタジオ・ミュージシャンとして多くの録音に参加している。
バークリー音楽大学でジャズ理論と作編曲を学び、その後ニューヨークで実践経験を積んだ。演奏面では、カッティングの精度、コード・ボイシングの整理された組み立て、メロディを追うソロ・プレイが特徴として挙げられる。速弾きで押し切るタイプではなく、リズムの隙間に音を置くやり方で存在感を出してきた。
広く知られるようになったきっかけのひとつが、ブラジル出身の音楽家Eumir Deodatoとの共演だ。1972年録音の『Prelude』や『Deodato 2』でリード・ギタリストを務め、ファンキーでスペイシーなギター・ソロを残している。特に『Prelude』は大きなヒット作として知られていて、Tropeaの名前が世界の音楽ファンに届く入口になった。
Tropeaはソロ作だけでなく、数多くのアーティストの録音でも演奏している。ポール・サイモンの「50 Ways to Leave Your Lover」では印象的なギター・リフを担当し、ほかにもローラ・ニーロ、ヴァン・モリソン、チャカ・カーン、アリス・クーパー、エリック・クラプトンらの作品を支えてきた。ジャンルの違う現場でも必要とされていた点に、プレイヤーとしての対応力が表れている。
1975年にはMarlin Recordsから初のリーダー作『Tropea』を発表した。続く『Short Trip to Space』(1977年)、『To Touch You Again』(1979年)は、ニューヨークのジャズ・ファンク/フュージョンが充実していた時期の作品として評価されている。これらの録音にはスティーヴ・ガッド、リック・マロッタ、ウィル・リー、ドン・グロルニック、ブレッカー・ブラザーズ、ラルフ・マクドナルドらが参加していて、強いグルーヴと密度の高いアンサンブルが聴ける。
Tropeaの演奏は、派手なテクニックを前面に出すよりも、リズムの芯を外さないカッティングや、和音の置き方で曲の輪郭を作る場面が目立つ。1990年代以降は、レアグルーヴやクラブ・ミュージックの文脈でも再評価され、ロフト・クラシックの愛好家からも支持を集めている。後年はThe Blues Brothers Bandのメンバーとしてツアーを回り、映画音楽やCM音楽のプロデュースにも関わっている。
ニューヨークのスタジオ・シーンで鍛えられたギタリストとして、John Tropeaはジャズ、ファンク、ソウル、ポップスをまたいで仕事をしてきた。ソロ作でもセッションでも、曲の中でどうギターを機能させるかを丁寧に詰めてきたタイプのプレイヤーだ。