Vinyl Record Reviews
Martha Reeves & The Vandellasは、1960年代のモータウン・レコード黄金期を代表するアメリカの女性ソウル/R&Bボーカル・グループだ。ゴスペル仕込みの力強い歌唱と躍動的なダンス・ビートで一世を風靡し、1995年にロックの殿堂入りを果たしている。
グループの前身はThe Del-Phisで、中心人物となったのがマーサ・リーヴスだ。もともとモータウンの秘書として働いていたマーサを軸に、ロザリンド・アシュフォード、アネット・ビアード(のちのスターリング)らが加わって、「Martha and the Vandellas」としてデビューした。
1960年代のモータウンでは、スプリームスのように洗練されたポップ感を前面に出すグループもいたが、ヴァンデラスはゴスペル由来の強靭で情熱的なボーカルと、ハウスバンドであるファンク・ブラザーズの叩き出す骨太で躍動的なビートを武器に、独自の存在感を確立した。
1963年の「(Love Is Like a) Heat Wave」は、名ソングライティング・チームのホランド=ドジャー=ホランドが手掛けた楽曲で、全米4位、R&Bチャート1位を記録。モータウン・サウンドの完成形を世に示した記念碑的ヒットとなった。
1964年の「Dancing in the Street」はさらに大きなヒットになり、全米2位を記録。マーヴィン・ゲイらが共作したこの曲は、単なるダンス・ナンバーを超えて、1960年代の公民権運動や若者文化の解放を象徴する世界的なアンセムとして受け止められた。
その後も「Nowhere to Run」(1965年)、「Jimmy Mack」(1967年)などのビッグ・ヒットを連発し、モータウンの最重要グループとしてチャートを賑わせ続けた。
グループは活動期間中にメンバー交代があった。主な在籍者としては、マーサ・リーヴス、ロザリンド・アシュフォード、グロリア・ウィリアムソン、ベティ・ケリー、サンドラ・ティリー、ロイス・リーヴス、アネット・ビアードが挙げられる。
1967年には、モータウンの方針に合わせてグループ名が「Martha Reeves & The Vandellas」に変更された。これはフロントに立つリード・シンガーの名前を明確に打ち出すためのレーベル戦略によるものだった。
ヴァンデラスの音楽は、マーサ・リーヴスの力強いボーカルと、モータウン特有のうねるグルーヴが核にある。弾むようなダンス・ビート、コール&レスポンス、キャッチーなホーン・リフが一体となった躍動感あふれるサウンドが最大の魅力だ。
グループは1972年に解散したが、タフでダイナミックな女性ボーカル・グループの先駆者として、後世のロックやソウルのアーティストに多大な影響を与えた。1995年にはロックの殿堂入りを果たし、モータウンを語る上で欠かせない伝説的グループとして輝き続けている。