Vinyl Record Reviews
Snoh Aalegra(スノー・アレグラ)は、1987年9月13日スウェーデン・ウプサラ生まれ(イラン系のルーツを持つ本名Shahrzad Fooladi)のR&B/ソウル・シンガーソングライター。スモーキーで濡れ色を帯びたハスキー・ボイスと、映画のワンシーンのように美しくドラマティックなストリングス、そしてヒップホップ仕込みの洗練されたビートを融合させた独自のスタイルを「シネマティック・ソウル(Cinematic Soul)」と標榜し、現代R&Bシーンの頂点に君臨している。
10代の頃にスウェーデンのメジャー・レーベルと契約したものの、商業主義的なポップ路線を押し付けられるなどの苦難を経験。自らの音楽的アイデンティティを取り戻すため、単身渡米してロサンゼルスへと拠点を移した。
2013年、伝説的スーパースターのプリンス(Prince)にその非凡な歌声を見出された彼女は、ペイズリー・パークに招かれ、彼の直接のメンターシップを受けることとなる。プリンスが2016年に急逝するまでの約3年間、アーティストとしての揺るぎない自立心と、自らの作品に対する絶対的なコントロールの重要性を徹底的に叩き込まれた。
カニエ・ウェスト、JAY-Z、コモンの名プロデューサーとして知られる重鎮No I.D.(Ernest Wilson)主宰のARTium Recordingsと契約。No I.D.のエグゼクティブ・プロデュースのもと、彼女のトレードマークである「シネマティック・ソウル」の音像が確立された。
2017年に発表した1stアルバム『Feels』には、ヴィック・メンサ(Vic Mensa)やロジック(Logic)が客演し、批評家筋から大絶賛を浴びる。さらに同年、ドレイク(Drake)がプレイリスト・プロジェクト『More Life』の収録曲「Do Not Disturb」で彼女の楽曲「Time」をサンプリングしたことで、その名は瞬く間に世界的な注目を集めることとなった。
2019年に発表された2ndアルバム『- Ugh, those feels again』は、2010年代末のネオ・ソウル/R&Bを代表するマスターピースとなった。恋の始まりと揺れ動く感情を赤裸々に綴った名曲「I Want You Around」は、全米ビルボード・アダルトR&Bソング・チャートで第1位を獲得。「Find Someone Like You」の世界的ヒットや、米NPR Tiny Desk Concertでの圧巻の歌唱パフォーマンスも相まって、世界的なスターダムへと駆け上がった。
2021年にはファレル・ウィリアムスやタイラー・ザ・クリエイターが参加した3rdアルバム『Temporary Highs in the Violet Skies』をリリースし、第64回グラミー賞で最優秀R&Bアルバム賞などにノミネート。
スティーヴィー・ワンダーやシャーデー、エイミー・ワインハウスの系譜を受け継ぎながら、現代の都会的な美意識でソウル・ミュージックを更新し続ける、21世紀屈指のシンガーである。