Vinyl Record Reviews
T.S. Monkは、ジャズピアニストのセロニアス・モンクを父に持つセロニアス・モンク・ジュニアを中心に結成された、アメリカのファンク/ソウル系グループだ。ファンク、ディスコ、R&Bの文脈で語られることが多く、ブギー寄りのダンスミュージックとしても高く評価されている。
セロニアス・モンク・ジュニアは、父親のバンドなどでジャズドラマーとして活動していた人物だ。T.S. Monkでは、そうしたジャズのバックグラウンドを持ちながら、同時代のダンスミュージックやR&Bに向けたアプローチを試みている。
グループのボーカル陣は、セロニアス・モンク・ジュニア、実妹のバーバラ・“ブー・ブー”・モンク、そしてボーカリスト兼ソングライターのイヴォンヌ・フレッチャーの3人を軸にしていた。
T.S. Monkのサウンドは、ホーンセクションの華やかさ、タイトなリズム隊、複数ボーカルの掛け合いが際立つ。ジャズの素養を感じさせる演奏力をベースにしながら、ディスコ以降のクラブ向けグルーヴを前面に出した作りになっている。
特に1980年のデビュー作『House of Music』からシングルカットされた「Bon Bon Vie (Gimme the Good Life)」は、ホーンのイントロ、タイトなリズム、軽快なボーカルが組み合わさった名曲としてチャートヒットを記録した。また「Candidate for Love」もクラブで支持を集めた。
T.S. Monkを語るうえで外せないのが「Bon Bon Vie」だ。この曲のホーンイントロは後年のヒップホップで数多くサンプリングされており、代表例としてPublic Enemyの「Welcome to the Terrordome」の元ネタとしても広く知られている。
こうした使われ方を見ても、T.S. Monkの音源は当時のディスコ/ブギーの枠にとどまらず、のちのヒップホップ制作にも大きな影響を残している。
グループ解散後、セロニアス・モンク・ジュニアはストレート・アヘッドなジャズへ戻り、父の名を冠したセロニアス・モンク・インスティテュートの設立や自身のソロ活動を続けた。T.S. Monkは短い活動期間ながら、ジャズの卓越した演奏者が80年代初頭のダンスミュージックに挑んだグループとして確固たる足跡を残している。