Vinyl Record Reviews
Womack & Womack(ウォマック&ウォマック)は、セシル・ウォマック(Cecil Womack、1947年 - 2013年)とリンダ・クック・ウォマック(Linda Cooke Womack、1953年 - )の夫婦によるアメリカのソウル/R&Bデュオ。1980年代のアーバン・ソウルやダンス・ポップのシーンで絶大な支持を集め、世界的アンセム「Teardrops」を生み出したことで広く知られる。
セシルは名歌手ボビー・ウォマックの実弟で、サム・クックに見出されたザ・ヴァレンティノス(The Valentinos)の元メンバー。リンダはまさにそのソウル・ミュージックの開拓者サム・クックの実娘であり、ブラック・ミュージック史に燦然と輝く名門ファミリー同士の結びつきから生まれた類まれなデュオである。
二人は表舞台でデュオとして活動する以前から、洗練されたソングライティング・チームとして数々の名曲を世に送り出していた。その最大の代表作が、テディ・ペンダーグラスに提供した1980年の不朽の名バラード「Love T.K.O.」である。全米R&Bチャート上位を記録したこの曲は、甘美で切ないクワイエット・ストームの金字塔として長く愛され続けている。
さらにジ・オージェイズ、パティ・ラベル、ウィルソン・ピケット、チャカ・カーンといった大物アーティストたちにも楽曲を提供し、卓越したソングライター・チームとしての地位を不動のものにした。
1983年、二人は満を持してElektraからデビュー・アルバム『Love Wars』を発表した。表題曲「Love Wars」は、夫婦間の口論や摩擦を現実世界の戦争になぞらえたシニカルかつ人間味あふれるナンバーで、タイトなファンク・グルーヴに乗せて歌われ英米で大きな話題を呼んだ。さらに「Baby I'm Scared of You」や「T.K.O.」のセルフカバーなど、感情の機微をリアルに描いたソウルフルな楽曲が満載された本作は、80年代屈指のモダン・ソウル名盤として高く評価されている。
1988年、アイランド傘下の4th & B'wayより放った4thアルバム『Conscience』からのシングル「Teardrops」が、世界的なメガヒットを記録した。抑制の効いたミニマルなベースラインとパーカッション、そしてリンダの切迫感に満ちた生々しい歌声が絶妙に融合したこの曲は、全英シングル・チャート3位を記録し、オランダ、オーストラリア、ニュージーランドなどのチャートで軒並み1位を獲得した。
哀愁漂うメロディとダンサブルなビートの融合は時代を超えたクラブ・クラシックとなり、現代に至るまで世界中のDJによってスピンされ、無数のカバーやリミックスが制作され続けている。
1990年代に入ると、二人はアフリカ・ナイジェリアの文化的ルーツに深く傾倒し、セシルは「Zekkariyas」と改名。家族を中心とした音楽共同体「The House of Zekkariyas」を組織してスピリチュアルな音楽活動を展開した。
2013年1月にセシルが65歳で惜しまれつつこの世を去ったが、1960年代のゴスペル/ディープ・ソウルの豊かな伝統を色濃く受け継ぎながら、1980年代のコンテンポラリーなダンス・グルーヴへと見事に昇華させた二人の功績は、ブラック・ミュージック史において今なお特別な輝きを放ち続けている。