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ワム!(Wham!)は、シンガーのジョージ・マイケル(George Michael、1963年 - 2016年)とギタリストのアンドリュー・リッジリー(Andrew Ridgeley、1963年生まれ)によって1981年に結成されたイギリスのポップ・デュオである。1980年代前半のMTV全盛期を象徴するスーパーグループであり、ソウルやファンク、ディスコの快楽性を巧みに取り入れたキャッチーなメロディと、躍動感あふれるビジュアルで世界中を熱狂させた。
ロンドン北郊のハートフォードシャー州ブッシーにあるブッシー・ミーズ・スクールで出会った二人は、スカ・バンドのジ・エグゼクティブ(The Executive)での活動を経て1981年にデュオを結成した。インナーヴィジョン・レコーズと契約し、1982年に「Wham Rap! (Enjoy What You Do)」や「Young Guns (Go for It)」をリリース。「Young Guns」がBBCの国民的音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』への出演を契機に全英チャート3位に急浮上した。
1983年に発表されたデビュー・アルバム『Fantastic』は全英アルバム・チャートで見事1位を獲得した。「Bad Boys」や「Club Tropicana」などのヒット曲を連発し、英国の若者の失業問題や閉塞感漂う社会情勢を背景にしたリアルなメッセージと、底抜けに明るいダンス・ポップの二面性で瞬く間に若者世代のカリスマとなった。
エピック/ソニーへ移籍した1984年、セカンド・アルバム『Make It Big』を発表すると、その人気は世界規模へと爆発的に拡大した。本作は全英・全米(Billboard 200)アルバム・チャート双方で1位に輝いた。
モータウン・ビートを現代的に再構築した「Wake Me Up Before You Go-Go(ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ)」は全英・全米の双方でシングル首位を獲得。さらに、哀愁漂うサックスのリフとジョージ・マイケルのエモーショナルな歌唱が光る名バラード「Careless Whisper」も米英をはじめ世界各国のチャートを制覇した。続いて洗練されたシンセ・ファンク「Everything She Wants」(全米1位)や軽快なポップ・ナンバー「Freedom」(全英1位)と立て続けにメガヒットを連発した。
また、1984年末にリリースされた「Last Christmas」は、現在に至るまでクリスマスの定番曲として世界中で愛され続けている。1985年4月には、西側のポップ・グループとして史上初めて共産圏下の中国(北京・広州)での公演を成功させ、東西冷戦期の文化的架け橋として世界的な大ニュースとなった。
ジョージ・マイケルがより成熟したソングライター/ソロ・アーティストとしての道を志向するなか、二人は人気絶頂の1986年に円満な解散を決断した。同年6月28日、ロンドンのウェンブリー・スタジアムに7万2000人のファンを集めて開催された伝説的解散コンサート「The Final」をもって活動に終止符を打った。ラスト・シングル「The Edge of Heaven」も全英1位を記録し、記念アルバム『The Final』(北米等では『Music from the Edge of Heaven』)を有終の美として締めくくった。
解散後、ジョージ・マイケルは1987年の名盤『Faith』をはじめとしてグラミー賞を獲得するなど、ポップ/R&B史に残る世界的スーパースターへと登り詰めた(2016年12月25日に逝去)。一方、アンドリュー・リッジリーはカーレースや環境保護活動に携わりつつ、2019年には回顧録『Wham! George & Me』を出版し、二人の友情の軌跡を伝えている。
Wham!の活動期間は約5年、オリジナル・スタジオ・アルバムはわずか2枚にとどまるが、世界累計アルバム売上は3000万枚を超えている。短期間に濃縮された卓越したポップ・センス、ソウルやファンクを咀嚼した高度なソングライティング、そして時代を切り拓いた華やかなビジュアル・アプローチは、1980年代カルチャーを象徴する金字塔として今なお色あせることなく愛され続けている。