Wham! - Make It Big (1984)
Wham!『Make It Big』
ジョージ・マイケル(George Michael)とアンドリュー・リッジリー(Andrew Ridgeley)による英ポップ・デュオ、Wham!が1984年秋に発表したセカンド・アルバム。初期の若者の苛立ちや社会風刺を歌ったデビュー作『Fantastic』(1983年)から一転、タイトル通り「世界的な成功(Make It Big)」を掴み取るべく制作された、80年代ポップ・ミュージックの最高峰に位置する金字塔である。
制作背景・エピソード
録音はメディアの喧騒や税金対策を避けるため、南仏プロヴァンスの名門レジデンシャル・スタジオ「Studio Miraval」に籠もって行われた。当時わずか21歳だったジョージ・マイケルが全曲のプロデュースを単独で手掛け、名エンジニアのクリス・ポーター(Chris Porter)とともに緻密なサウンド・プロダクションを追求した。
オープニングを飾る「Wake Me Up Before You Go-Go」は、アンドリューが両親の寝室ドアに残したメモの書き間違い(「up」を重ねてしまったこと)から着想を得て生まれた。また、高校時代に二人が共作した永遠のバラード「Careless Whisper」は、マッスル・ショールズでの初期テイクを退け、ロンドンでサックス奏者スティーヴ・グレゴリーを起用して録音し直したこだわりのテイクが採用された。
時代の文脈
1984年は、MTVの世界的浸透とともに第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンが最高潮に達していた時代。モータウン直系の弾けるポップ・ソウルから、最先端のドラムマシン(LinnDrum)とシンセサイザーを駆使したエレクトロ・ファンクまでを自在に操るジョージ・マイケルの卓越したソングライティングは、単なるアイドル・デュオの枠を完全に超越していた。
1985年4月には、西側のポップ・グループとして初となる歴史的な中国公演(北京・広州)を成功させ、東西冷戦下の世界に巨大な文化的インパクトを与えた。なお、同年のクリスマス期には本作収録の「Everything She Wants」との両A面シングルとして名曲「Last Christmas」も世に送り出されている。
後世への影響
「Careless Whisper」の哀愁漂うサックス・リフはポップス史上もっとも有名なフレーズのひとつとなり、無数のアーティストにサンプリングやカバーをされ続けている。また、ジョージ自身がリズムマシンとシンセサイザーのプログラミングを徹底して作り込んだ「Everything She Wants」は、後に多くのヒップホップやR&Bプロデューサーから80年代屈指の洗練されたファンク/ソウル・トラックとして熱烈な再評価を受けた。
多幸感あふれる「Wake Me Up Before You Go-Go」や「Freedom」、アイズレー・ブラザーズの名曲を爽快に再解釈した「If You Were There」に至るまで全編が名曲揃い。全米Billboard 200および全英チャートで堂々の1位を獲得し、全米Hot 100では「Wake Me Up Before You Go-Go」「Careless Whisper」「Everything She Wants」の3曲が1位に輝く歴史的メガヒットとなった。
トラックリスト
- A1 Wake Me Up Before You Go-Go 3:50
- A2 Everything She Wants 5:01
- A3 Heartbeat 4:42
- A4 Like A Baby 4:12
- B1 Freedom 5:01
- B2 If You Were There 3:38
- B3 Credit Card Baby 5:08
- B4 Careless Whisper 6:30