Beverly Copeland - Beverly Copeland (1970)
Beverly Copeland『Beverly Copeland』(1970)
1986年の自主制作カセット作品『Keyboard Fantasies』が2010年代以降に世界的な再評価を獲得し、時代を超越した音楽家として称賛を集めるビバリー・グレン=コープランド(Beverly Glenn-Copeland)。本作は、彼が「Beverly Copeland」名義で1970年にカナダ放送協会(CBC)のトランスクリプション・シリーズから発表した実質的なファースト・アルバムである。モントリオールのCBC Studiosにて1970年3月24日・25日の2日間で録音され、放送局のライブラリー用としてわずか250枚のみプレスされた幻の超稀少盤である。
音楽的背景と比類なきボーカル
フィラデルフィア生まれでカナダへと移住し、名門マギル大学でクラシック声楽(ドイツ・リート)を学んだコープランドは、西洋古典声楽の確かな発声技術と、フォーク、スピリチュアル・ジャズ、ブルースの情熱を併せ持っていた。本作ではカナダの著名な作曲家・ピアニストであるニール・ショテム(Neil Chotem)が音楽コンサルタントとして参加し、コープランドの歌世界を繊細に支えている。
収録曲は、凛としたアコースティック・ギターの弾き語りとともに深遠な詩情を歌い上げる「Don't Despair」や「Song From Beads」、ブルースの哀愁を独自の声の陰影で表現した「Good Morning Blues」、前衛歌曲のような実験精神と劇的な歌唱が交錯する「Swords Of Gold」、そして8分超に及ぶ瞑想的な大作「Reflections」など、いずれも既存のジャンル区分を無効化するような強度を宿している。
作品の歴史的意義と再評価
当時市販されることのなかった本作は、長らく一部の熱心なコレクターの間でのみ語り継がれる秘宝であったが、近年の正規復刻によってその全貌が広く知られることとなった。黒人カナディアン音楽史およびクィア・カルチャー史における重要な金字塔であると同時に、アシッド・フォークとスピリチュアル・ジャズの境界に咲いた孤高の結晶として、今なお鮮烈な感動を与え続けている。
トラックリスト
- A1 Don't Despair 3:00
- A2 Untitled (Make The Answer "Yes") 4:30
- A3 Song From Beads 2:15
- A4 Nothing Beautiful 5:30
- A5 Good Morning Blues 4:35
- A6 Durocher 4:30
- B1 Northwind 3:20
- B2 Swords Of Gold 2:55
- B3 Interval 4:40
- B4 Reflections 8:05
- B5 Don't Despair (Jazz Version) 3:00