Glenn Frey - No Fun Aloud (1982)
Glenn Frey 1982

Glenn Frey - No Fun Aloud (1982)

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Glenn Frey『No Fun Aloud』(1982)

グレン・フレイの『No Fun Aloud』は、1982年にUSのAsylum Recordsから出たソロ・デビュー作。イーグルスの中心人物のひとりとして知られたフレイが、バンドの大きな成功を経て、個人名義で最初にまとめたアルバムである。ロックを軸にしながら、ポップ寄りの聴きやすさと、R&Bやモータウンを思わせる手触りが同居していて、派手な実験よりも曲の推進力を前に出した作りになっている。

イーグルス後の最初の一枚

この作品の位置づけは、やはりイーグルス解散直後のソロ第一歩という点にある。バンドの看板を背負っていた人物が、ひとりでどんな音を鳴らすのかが注目された時期の作品で、結果としては大きく方向を変えすぎず、フレイらしい軽快さをそのまま持ち込んだ内容になっている。アルバム全体には、肩の力を抜いたロックンロール感覚があり、カリフォルニア・ロックの文脈に置かれながらも、よりストレートなポップの感触が前に出る。

録音はロサンゼルスのWilder Bros. StudiosとRudy Records、アラバマ州シェフィールドのMuscle Shoals Sound、マイアミのBayshore Recording Studiosで行われた。複数のスタジオを使っていることもあって、都会的なポップ・ロックの質感と、南部の音楽的な空気が自然に混ざっている。レコードを通して聴くと、整ったバンドサウンドの中に、ラフさを少し残した演奏が入ってくる。

ヒット曲が支えた商業的成功

このアルバムを語るうえで外せないのが「The One You Love」と「I Found Somebody」。どちらもBillboard Hot 100でTop 40入りしており、「The One You Love」は15位、「I Found Somebody」は31位を記録した。シングルの存在感がはっきりした作品で、アルバムの評価だけでなく、実際の売上にもつながっている。アルバム自体もゴールド・ディスクとなり、Billboard 200では1982年10月末に40位まで上がった。

「The One You Love」は、フレイの歌い方が前に出る曲で、メロディの運びがかなり素直だ。「I Found Somebody」はジャック・テンプチンとの共作で、こちらも引っかかりの少ない進行の中に、歌のフックが置かれている。ソングライティングの相性の良さが、アルバムの骨格を作っている印象が強い。

曲の並びとアルバムの手触り

『No Fun Aloud』は、技巧を見せるタイプの作品ではない。むしろ、曲の長さ、展開、コーラスの入り方などが整理されていて、耳に残る部分をきちんと置いていく作り。タイトル曲「No Fun Aloud」や、陽気な空気を持つ「Partytown」、カバー曲の「Sea Cruise」など、アルバムの中に温度の違う曲が並ぶが、どれも過度に飾らない。フレイの声は乾いた質感があり、その声が軽いビートの上に乗ることで、曲全体が前に転がるように進む。

実際に聴くと、ベースとドラムの押し出しが強すぎず、ギターも派手に鳴らし続けるわけではない。そのため、歌の輪郭がはっきり残る。イーグルス時代の緻密なコーラス・ワークや洗練されたアレンジを知っていると、ここではもっと直接的で、ラジオ向きの作りに寄っていることが分かる。1980年代初頭のアメリカン・ロックの中でも、AORやポップ・ロックの流れと接点を持ちながら、より軽いノリを持った一枚として聴こえる。

当時の受け止められ方

発売当時の批評はおおむね好意的だった。大げさなコンセプトや複雑な構成に頼らず、シンプルで聴きやすい点が評価されている。ワシントン・ポストは、軽快で楽しいロックとしてこの作品を捉え、フレイの“バー・バンド的なルーツ”がよく出ていると評していた。そうした見方は、このアルバムの性格をかなり端的に表している。

同時代の文脈で見ると、イーグルス解散後のメンバーたちがそれぞれソロ活動へ進んだ流れの中にある作品でもある。グレン・フレイは、その中でもバンドで培ったポップ感覚を崩さずに持ち出した形で、同じくメロディ重視のロックを作るソロ・アーティストたちと並べて語られやすい。派手な方向転換より、曲の完成度と歌の運びで勝負するタイプの作品としてまとまっている。

USオリジナル盤について

このUS盤はAsylum Records、カタログ番号はE1-60129。盤面のランアウトにはSP刻印があり、ライナーには歌詞とクレジットを載せたインナー・スリーブが付属している。80年代初頭のUSロックLPらしい仕様で、音楽そのものとあわせて当時のパッケージ感も伝わる。

『No Fun Aloud』は、グレン・フレイがイーグルスの看板を背負ったままではなく、一人のシンガー/ソングライターとして前に出た最初の記録。大きく構えず、曲をきちんと並べ、ヒット曲をしっかり残したソロ初作として、1982年という年の空気をよく映している。

トラックリスト

  1. A1 I Found Somebody 3:50
  2. A2 The One You Love 4:35
  3. A3 Partytown 2:50
  4. A4 I Volunteer 4:00
  5. A5 I've Been Born Again 4:26
  6. B1 Sea Cruise 2:35
  7. B2 That Girl 3:39
  8. B3 All Those Lies 4:42
  9. B4 She Can't Let Go 3:13
  10. B5 Don't Give Up 4:54

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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