Cactus - One Way... Or Another (1971)
Cactus『One Way... Or Another』について
Cactusの『One Way... Or Another』は、1971年に発表された2作目のアルバムで、アメリカのハードロック/ブルースロックの流れを強く感じさせる一枚だ。ヴァニラ・ファッジ出身のティム・ボガートとカーマイン・アピスを軸にしたバンドで、ラスティ・デイやジム・マッカーティーらが加わった編成による、重量感のある演奏が持ち味になっている。ハードロックがまだ現在ほど細かく分類される前の時代の作品だが、のちのヘヴィなロックを語るうえで外せない文脈に置かれている。
この盤は1980年代のヨーロッパ再発盤で、ドイツのRecord Service GmbH, Alsdorfで製造されたもの。ATCO Recordsの盤らしく、当時の再発としては比較的整った流通経路を持つプレスで、ジャケットやクレジットにもWarner系の表記が見られる。収録曲の著作権表記は1971年で、作品としてはオリジナルの時代感をそのまま引き継いでいる。
作品の位置づけ
Cactusは、同時代のハードロック・バンドの中でも、演奏の密度と押しの強さがはっきりしたグループだ。『One Way... Or Another』は、その性格がよく出た作品として語られることが多い。録音は1970年から1971年にかけてニューヨークのElectric Lady Studiosで行われたとされ、スタジオ作品でありながら、ライヴの熱量をそのまま持ち込んだような手触りが残る。制作面では、タイトル曲が最初から完成された形ではなく、もとはジャムから発展したという話もあり、バンドの即興性がそのまま曲作りに反映されたことがうかがえる。
商業的には大きなヒット作としては扱われていないが、後年の再評価では、初期メタルやブギー・ロックの流れを示す重要作として見られている。Cactusというバンド自体が、ヴァニラ・ファッジの重いサウンドをさらに荒く、直線的にしたような印象を持たれやすく、その意味では同時代のGrand Funk Railroadや、ブルースの骨格を残したハードロック勢と並べて語られることがある。
サウンドの特徴
このアルバムは、リフの押し出し、ドラムの強い鳴り、低音の太さが前面に出る。ブルースの型をベースにしながらも、展開は比較的ストレートで、余計な装飾をあまり置かない。AllMusicでも、疾走感のあるブギー、ブルース・カバー、タイトル曲のまとまりが評価されている。実際に聴くと、音数で押すというより、各パートの圧力を真正面からぶつけるタイプで、ギターとリズム隊の噛み合いがかなり直接的だ。
特にタイトル曲は、このバンドの性格を象徴する曲として耳に残る。曲名の印象よりも中身はずっと硬質で、演奏の切迫感が先に立つ。派手なヒットシングルというより、アルバム全体の軸として機能するタイプの楽曲だ。ブルース・ロックの枠に収めるには強く、かといって後年のメタルほど様式化されてはいない、その中間の生々しさがある。
再発盤としての見どころ
このヨーロッパ盤は、1980年代の再発らしく、オリジナル初出時の空気を残しながらも、流通や製造は後年の体裁になっている。製造元がRecord Service GmbH, Alsdorfであること、WEA Filipacchi Music配給であることなどから、当時のヨーロッパ市場向け再発の一つとして整理できる。ラベルやクレジットもATCOの系譜を踏まえており、オリジナル期のアメリカ盤とはプレス環境が異なる一方で、内容自体は1971年の作品をそのまま伝えるものになっている。
まとめ
『One Way... Or Another』は、Cactusの中でも演奏の荒さと重さがよく出たアルバムだ。派手な成功よりも、バンドの実力と当時のハードロックの輪郭をはっきり示すことに価値がある一枚、と言える。ヴァニラ・ファッジの延長線上にありながら、より直線的で、よりブギー寄りで、より生々しい。その手触りが、今聴いてもはっきり残る作品である。
トラックリスト
- A1 Long Tall Sally 6:27
- A2 Rockout, Whatever You Feel Like 3:56
- A3 Rock N' Roll Children 5:40
- A4 Big Mama Boogie - Parts 1 & 2 4:59
- B1 Feel So Bad 5:30
- B2 Song For Aries 3:05
- B3 Hometown Bust 6:38
- B4 One Way... Or Another 5:05