Henry Mancini - Sunflower (1970)
Henry Mancini『Sunflower』
ヘンリー・マンシーニが1970年に手がけた映画音楽『Sunflower』は、ヴィットリオ・デ・シーカ監督による戦争メロドラマ『ひまわり』のサウンドトラック盤。ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演のこの作品に対して、マンシーニはカルロ・ポンティとデ・シーカから依頼を受け、「飛びついた」と伝えられている。Avco Embassyから出たUS盤はゲートフォールド仕様で、映画のスコアから11曲を収録したLPとしてまとめられた。
制作背景・エピソード
『ひまわり』は、イタリア、フランス、ソ連、アメリカの合作として制作された。物語は、出征を遅らせるために結婚したジョヴァンナとアントニオが引き裂かれ、行方不明となった夫を探してジョヴァンナがソ連へ渡るところから始まる。そこで彼女は、夫が命を救ってくれた女性マーシャ(リュドミラ・サヴェーリエワ)と新しい家庭を築いているのを知る。撮影は冷戦下で、西側映画として初めてソ連で大規模に行われ、モスクワ近郊やウクライナのポルタヴァ周辺でもロケが実施された。
製作はプロデューサーと監督の創作上の対立にも悩まされたが、マンシーニはイタリアで壮大なスコアを録音している。中心になるのはアントニオとジョヴァンナの愛のテーマで、ピアノ、ハープシコード、オーケストラによるメイン・タイトルに登場し、作品全体で繰り返される構成。ほかに、軍隊調のマーチ、ジョヴァンナの捜索に寄り添うワルツ、アントニオを救った女性マーシャのための第2の愛のテーマも書かれた。さらに、『ピンク・パンサー』を思わせるユーモラスなアップテンポ曲も含まれている。
時代の文脈
映画『ひまわり』は1970年3月19日にイタリアの5都市で公開され、イタリア映画として初めて吹き替え版がニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで上映された。マンシーニのスコアは同年のアカデミー賞作曲賞にノミネートされたが、『ある愛の詩』のフランシス・レイに敗れている。1970年のマンシーニは、ブレイク・エドワーズ監督の『Darling Lili』でもさらに2部門にノミネートされていた。
『ひまわり』の愛のテーマには、のちにボブ・メリルが詞を付けて「Loss of Love」となり、スコット・ウォーカー、ジョニー・マティス、ペトゥラ・クラーク、マンシーニの娘モニカらが歌っている。日本では、ハリウッド大作が並ぶなかでイタリア映画として異例のヒットとなり、1970年の洋画興行収入ランキングで5位を記録した。
後世への影響
『ひまわり』は日本でその後も繰り返し劇場上映されてきた。イタリアではオリジナル・ネガが失われ、ポジ・プリントしか残っていないが、日本では2011年、2015年、2020年にはHDレストア版が作られて公開された。2023年には日本語吹き替え版のHDレストア版も劇場公開されている。2022年のロシアによるウクライナ侵攻後には、ウクライナの国花でもあるひまわりの畑が印象的な作品として、あらためて注目を集めた。ひまわり畑の場面はウクライナで撮影されたとされている。
サウンドトラック自体は2013年にQuartet Recordsから2枚組CDとして再発され、映画で使われた完全版スコア26曲に加えて、本盤のステレオLP11曲も収録された。さらに、マンシーニによる愛のテーマのピアノ・デモもボーナスとして加えられている。
トラックリスト
- A1 Love Theme From "Sunflower" 2:26
- A2 Masha's Theme 1:54
- A3 Giovanna 1:54
- A4 The Search 4:20
- A5 Love In The Sand (Love Theme From "Sunflower") 3:00
- A6 New Home In Moscow 1:20
- B1 Two Girls ("Masha's Theme And Love Theme From "Sunflower") 2:07
- B2 The Retreat 5:10
- B3 The Invitation 2:04
- B4 Masha Finds Antonio Masha's Theme) 3:35
- B5 The Parting In Milan (Love Theme From "Sunflower") 3:23