Stelvio Cipriani - Femina Ridens (Colonna Sonora Originale) (1969)
Stelvio Cipriani『Femina Ridens (Colonna Sonora Originale)』
映画『ベニスの愛(Anonimo Veneziano)』や数々のマカロニ・ウェスタン、ポリツィオッテスコ(イタリアン・クライム・アクション)で知られるイタリア映画音楽界の巨匠ステルヴィオ・チプリアーニ(Stelvio Cipriani)が、1969年に手掛けたカルト・エロティック・サイコ・スリラー映画『Femina Ridens(英題:The Laughing Woman / The Frightened Woman、邦題:狂った情事 または 笑う女)』のオリジナル・サウンドトラック盤。名門CAM(Creazioni Artistiche Musicali)からリリースされた、イタリアン・シネ・ラウンジ/モンド・ファンク屈指の金字塔である。
制作背景・エピソード
本作はピエロ・シキヴァザッパ(Piero Schivazappa)監督、フィリップ・ルロワ(Philippe Leroy)とダグマー・ラッサンダー(Dagmar Lassander)主演によるポップアート調のスタイリッシュな愛憎劇を彩るために制作された。チプリアーニの膨大なディスコグラフィの中でも、際立って実験的かつグルーヴィーなアプローチがとられている。
参加メンバーには、アレッサンドロ・アレッサンドローニ率いる名合唱団「イ・カントーリ・モデルニ(I Cantori Moderni di Alessandroni)」や、エンニオ・モリコーネ作品でも名高い天才スキャット・シンガーのエッダ・デッロルソ(Edda Dell'Orso)が集結。チェンバロ、ファズ・ギター、シタール、ハモンド・オルガンが織りなす万華鏡のようなアンサンブルに、エッダの妖艶なスキャットが重なり、映画の退廃的でサイケデリックな美意識を完璧に具現化している。
時代の文脈とサウンドの革新性
1960年代末のイタリア映画界は、マカロニ・ウェスタンやジャッロ映画、サイケデリックなカルト作品が百花繚乱の活況を呈していた。映画音楽においても、クラシックの伝統技法とスウィンギング・ロンドン由来のビート、ジャズ・ファンク、ラウンジ・ボッサが奔放に融合した黄金期である。
チプリアーニはバロック音楽の厳格な対位法(フーガ)と跳躍するファンク・ビートを衝突させ、唯一無二の音響世界を創り出した。エッダ・デッロルソの吐息が乱舞するキラー・ダンサー「Sophisticated Shake」、胸を締め付けるほど美しくメランコリックな名旋律「Mary's Theme」、ヒップなビートが疾走する「Week-End With Mary」や「Hot Skin」など、全編にわたって極上のシネ・グルーヴが連続する。
後世への影響
1969年のオリジナルLP(CAM盤)は流通量の少なさも相まって、世界中のサントラ・コレクターやレア・グルーヴ・ディガーの間で「イタリア映画音楽究極の聖杯(ホーリー・グレイル)」と称される幻の名盤となった。1990年代のモンド/ラウンジ・リバイバルで再評価の頂点を極め、2019年にはイタリアの名門Four Flies RecordsがCAM所蔵のオリジナル・マスターテープからリマスター正規復刻を果たして世界的な喝采を浴びた。また「Mary's Theme」はヒップホップ・プロデューサーによるサンプリング源としても愛されるなど、時代を超えてクリエイターを魅了し続けている。
トラックリスト
- A1 Week-End With Mary 2:00
- A2 Love Symbol 2:18
- A3 Hot Skin 2:42
- A4 Chorus And Brass "Fugato" 1:52
- A5 Rendez-vous In The Castle 1:47
- A6 Sophisticated Shake 3:41
- B1 "Femina Ridens" Song 3:21
- B2 Mary's Theme 2:07
- B3 The Shower 2:43
- B4 The Run In The Alley 2:48
- B5 Fight Of Love 3:19
動画プレイリスト
このアーティストについて
Stelvio Cipriani(ステルヴィオ・チプリアーノ、1937年8月20日 - 2018年10月1日)は、イタリア・ローマ出身の映画音楽作曲家/ピアニスト。1960年代...
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