Marcia Griffiths - Sweet & Nice (1974)
Marcia Griffiths『Sweet & Nice』
「クイーン・オブ・レゲエ」と称され、ジャマイカ音楽界の至宝として君臨する女性シンガー、マーシャ・グリフィス(Marcia Griffiths)が1974年に発表した記念碑的ソロ・ファースト・アルバム『Sweet & Nice』。ボブ・アンディとのデュオ「ボブ&マーシャ」による「Young, Gifted and Black」の世界的大ヒットを経て、名プロデューサー/キーボード奏者のロイド・チャーマーズ(Lloyd Charmers)を迎えてキングストンのFederal Recording Studiosで制作された名盤である(同年に英Trojanから『Sweet Bitter Love』と改題されてリリースされた)。
制作背景・エピソード
本作が吹き込まれた1974年は、マーシャがリタ・マーリー、ジュディ・モワットとともにボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのバック・コーラス隊「アイ・スリーズ(I-Threes)」を結成した年でもあり、彼女の輝かしいキャリアにおける大きな転換点にあたる。
名門フェデラル・スタジオのハウス・アンサンブルとロイド・チャーマーズの洒脱なアレンジのもと、アル・グリーンの「Here I Am Baby」、ヴァン・マッコイ作のタイトル曲「Sweet, Bitter Love」、カーティス・メイフィールドの「Gypsy Man」、ロベルタ・フラックで知られる「The First Time Ever I Saw Your Face」、ニール・ダイアモンドの「Play Me」など、アメリカのソウルやポップスの珠玉のナンバーが、ジャマイカならではのゆったりとしたビートと艶やかな歌声によって再解釈された。
時代の文脈と「プロト・ラヴァーズ・ロック」の響き
1970年代半ばのジャマイカでは、ルーツ・レゲエがラスタファリズムの精神とともに重厚なメッセージ性を強めていた。その中にあって本作は、過激な skank ではなく、しなやかにうねるベースと柔らかなオルガン、洗練されたホーンが溶け合うスロー&セクシーなグルーヴを前面に提示した。
のちに英国を中心に百花繚乱のブームを巻き起こす「ラヴァーズ・ロック(Lovers Rock)」の先駆(プロト・ラヴァーズ・ロック)として位置づけられ、同年にケン・ブースが全英1位を獲得したブレッドのカバー「Everything I Own」でも、ケン・ブース版とは対照的にワウ・ギターが唸るファンキーなアップテンポ・スタイルを披露するなど、多彩な音楽的探求が息づいている。
後世への影響
オープニングを飾る「Here I Am Baby」は、のちにUB40が『Labor of Love II』(1989年)でカバーして世界的なヒットを記録するなど、レゲエ・クラシックの代表格となった。
英Trojan盤『Sweet Bitter Love』や近年のリイシューを通じ、レゲエ愛好家のみならずソウル/レア・グルーヴのリスナーからも「70年代ジャマイカン・ソウルの最高峰」として絶賛され続けている。マーシャの気品に満ちた歌唱と、ジャマイカ録音ならではの芳醇な空気感が幸福な結実を見せた不朽のマスターピースである。
トラックリスト
- A1 Here I Am Baby
- A2 Everything I Own
- A3 Green Grasshopper
- A4 Play Me
- A5 Children At Play
- B1 Sweet, Bitter Love
- B2 Gypsy Man
- B3 There's No Me Without You
- B4 The First Time I Saw Your Face
- B5 I'd Rather Be Lonely
動画プレイリスト
このアーティストについて
Marcia Griffiths(マーシャ・グリフィス、1949年11月23日 - )は、ジャマイカ・キングストン出身のシンガー。「Queen of Reggae(レゲエの女王)」と...
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