The Dave Brubeck Quartet - Time Out (1959)
The Dave Brubeck Quartet 1959

The Dave Brubeck Quartet - Time Out (1959)

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The Dave Brubeck Quartet『Time Out』(1959)レビュー

The Dave Brubeck Quartetの『Time Out』は、1959年のジャズを語るうえで外せない1枚だ。ピアノのDave Brubeck、アルト・サックスのPaul Desmondを中心にしたこのカルテットは、当時のモダン・ジャズのなかでも、リズムの扱いで強い個性を持っていた。『Time Out』は、その特徴がもっとも明確に形になった作品で、しかも変拍子を前面に出しながら、聴き手に難解さだけを残さないところが重要だ。

作品の位置づけ

Brubeck Quartetは1951年に結成され、1950年代後半にはすでに人気と実力を兼ね備えた存在になっていた。その流れの中で出た『Time Out』は、グループの代表作であると同時に、ジャズの大衆的な広がりを押し広げたアルバムでもある。収録曲の多くが変則拍子を採用しているが、演奏の芯はしっかりしていて、拍子の珍しさが前面に出すぎない。そこがこの作品の強さだ。

本作の着想は、Brubeckが1958年の国務省後援ユーラシア・ツアーでトルコを訪れた際、街頭の音楽から9/8拍子の感覚に触れたことにあるとされる。そこから「Blue Rondo à la Turk」につながった流れは、このアルバムの性格をよく示している。さらに、レーベル側がすぐには企画に乗り気ではなく、先に比較的オーソドックスな作品を録音する条件があったという経緯も残っている。実験性と商業性のせめぎ合いの中で成立したアルバム、という背景が見える。

収録曲と聴きどころ

やはり中心になるのは「Take Five」だ。Paul Desmondの作曲によるこの曲は、5/4拍子を軸にしたリフが印象的で、ジャズの代表曲として広く知られている。短いフレーズの反復に耳が引き込まれ、そこへドラムのJoe Morelloが細かな推進力を足していく構成。曲全体は整っていて、拍子の変化を意識しなくても流れが追える。

「Blue Rondo à la Turk」は、9/8拍子の分割が明確に出る曲で、アルバムの冒頭を飾るにふさわしい緊張感がある。トルコ音楽との接点を持ちながら、あくまでジャズのアンサンブルとして組み立てられているのが面白い。「Three to Get Ready」は3拍子と4拍子の切り替えが特徴で、拍子遊びのアルバムという印象を補強する。「Kathy's Waltz」や「Pick Up Sticks」も含め、どの曲も単なる技巧の展示ではなく、旋律とリズムが同じ重さで扱われている。

実際に聴くと、変拍子の説明を先に読んでいなくても、耳に残るのは拍の複雑さより、各曲の輪郭の明瞭さだ。Brubeckのピアノは打鍵がはっきりしていて、Desmondのサックスは音色が乾き気味で、全体の密度を上げすぎない。Joe Morelloのドラムも、目立つだけでなく、曲の形を保つ役割が大きい。ここでの演奏は、派手さよりも構造の明快さに重心がある。

ジャケットと録音

録音は1959年6月25日、7月1日、8月18日にニューヨークのColumbia 30th Street Studioで行われ、プロデューサーはTeo Macero。ジャケットはS. Neil Fujitaによる抽象画が使われ、当時のジャズ盤としてはかなり目を引くデザインになっている。視覚面でも、内容の実験性とよく噛み合っている。

今回のUS盤はColumbiaの6-eye赤ラベルで、黒いリングが入った初期ステレオ期の仕様だ。ラベル上部に「STEREO FIDELITY」があり、中央にCBS表記が入る前のデザインになっている点も、この時期ならではの要素だ。1959年という年の空気をそのまま持つ初出盤で、作品の歴史的な輪郭がよりはっきりする。

その後への影響

『Time Out』は、ジャズ・アルバムとして初めて100万枚を売り上げた作品としても知られる。さらに「Take Five」はジャズ曲として初のミリオンセラーになり、後のジャズ・ロックや変拍子を取り入れたポップス、プログレッシブ・ロックにもつながる入口になった。拍子の工夫が、難解さではなく親しみやすさに結びついた例として、この作品はかなり特別だ。

同時代のクール・ジャズの流れの中でも、『Time Out』は特に構成の明快さが目立つ。Miles Davisのようなハードボイルドな緊張感とも、オーケストラ的な広がりとも違い、Brubeck Quartetはリズムの組み替えを軸に独自の地平を作っている。聴き終えると、変拍子のアルバムというより、よく設計された演奏集として印象に残る。その設計の精度こそが、この作品の価値だ。

トラックリスト

  1. A1 Blue Rondo A La Turk
  2. A2 Strange Meadow Lark
  3. A3 Take Five
  4. B1 Three To Get Ready
  5. B2 Kathy's Waltz
  6. B3 Everybody's Jumpin'
  7. B4 Pick Up Sticks

動画プレイリスト

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