The Family - The Family (1985)
The Family 1985

The Family - The Family (1985)

Funk / Soul Funk Soul Minneapolis Sound

The Family『The Family』

1985年8月19日にリリースされた、ザ・ファミリー唯一のスタジオ・アルバム。プリンスがワーナー・ブラザース傘下に自ら立ち上げたPaisley Park Recordsから、プリンス名義以外で送り出した記念すべき第1弾アルバムである。USオリジナル盤はゲートフォールド・スリーブ仕様で発売された。

制作背景とメンバー

映画『パープル・レイン』の大ヒット後、ザ・タイムからモーリス・デイとジェシー・ジョンソンが脱退しバンドは分裂した。その流れの中でプリンスは、残ったジェローム・ベントンとジェリービーン・ジョンソンに、キーボード奏者だったセント・ポール・ピーターソンをリードボーカルとして抜擢。さらにザ・レボリューションのギタリスト、ウェンディ・メルヴォインの双子の妹で当時プリンスの婚約者でもあったスザンナ・メルヴォイン、サックス奏者のエリック・リーズを加えてザ・ファミリーを結成した。

ボビー・Z提供の「River Run Dry」を除く全曲の作詞・作曲をプリンスが手がけ、演奏面でもプリンス自身がマルチに多重録音を行った。特筆すべきは名匠クレア・フィッシャーによるオーケストラ/ストリングス・アレンジの初導入で、本作での劇的な成果がその後の『Parade』や『Sign “O” the Times』へ続く黄金期のオーケストレーションの礎となった。

代表曲「Nothing Compares 2 U」は、プリンスが専属ハウスキーパーの突然の辞任による喪失感をきっかけに書いた名バラードで、セント・ポールとスザンナのデュエットで録音された。バンドは1985年8月13日に地元ミネアポリスのファースト・アベニューで初ライブを行った直後、セント・ポールがMCAからのソロ契約オファーを受けて脱退したため、わずか1枚のアルバムで解散に至った。

時代の文脈

1985年は『Purple Rain』の熱狂の直後、プリンスが『Around the World in a Day』でサイケデリック、ジャズ、クラシックへと表現の領域を一気に広げていた時期。ザ・ファミリーは、従来の直線的なファンクにとどまらず、ヨーロッパ風の退廃美やモード感覚、優美なストリングスを取り入れた「洗練された新世代ミネアポリス・サウンド」を世に問うた重要作だった。

チャート面では、米Billboard 200で最高62位、Top Black Albumsで最高17位を記録。シングル「The Screams of Passion」はHot 100で63位、Hot Black Singlesで17位、Dance Club Playで10位を記録した。

サウンドと後世への影響

サウンド面では、ミネアポリス・サウンド特有の鋭利なドラムとシンセ・ファンクに、クレア・フィッシャーによる映画音楽のようなストリングス、エリック・リーズの艶やかなサックス、スザンナとポールの洗練されたボーカルが溶け合う。プリンス関連のプロジェクトの中でも最もエレガントな完成度を誇る名盤として評価されている。

1990年にシネイド・オコナーが「Nothing Compares 2 U(愛の哀しみ)」をカバーすると、全米・全英をはじめ世界17か国で1位を記録する歴史的メガヒットとなり、原曲を収めた本作の存在も世界的に知れ渡ることになった。また「Mutiny」はプリンス自身のライブで定番のファンク・ジャムとして演奏され続けた。2011年には、プリンスが名称使用を認めなかったため「fDeluxe」へと改名しつつもオリジナルメンバーが再結集してアルバムを発表している。

トラックリスト

  1. A1 High Fashion 5:06
  2. A2 Mutiny 3:57
  3. A3 The Screams Of Passion 5:26
  4. A4 Yes 4:27
  5. B1 River Run Dry 3:31
  6. B2 Nothing Compares 2 U 4:31
  7. B3 Susannah's Pajamas 3:58
  8. B4 Desire 4:58

動画プレイリスト

公開: 2026年11月
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