The Time - The Time (1981)
The Time『The Time』
ミネアポリス・ファンクの歴史を語るうえで決して外すことのできない、ザ・タイム(The Time)の記念すべきデビュー・アルバム。1981年7月にワーナー・ブラザースからリリースされた。フロントマンに強烈な伊達男キャラクターを誇るモーリス・デイ(Morris Day)を据え、稀代の天才プリンス(Prince)が制作の中核を担ったことで知られる歴史的傑作である。
制作背景・エピソード
本作は、ワーナー・ブラザースとの契約条項により外部アーティストのプロデュース権を獲得していたプリンスが、盟友モーリス・デイの才能を開花させるべく企画・制作した。実質的にはプリンスの完全なソロ・プロジェクトとしてレコーディングされ、覆面プロデューサー名義「Jamie Starr」が使用された。
モーリス・デイのリード・ヴォーカルと、マット・フィンクによる一部のシンセサイザーを除き、鋭利なギター、ファンキーなベース、リンドラム(Linn LM-1)、そして分厚いシンセサイザー(Oberheim OB-X)に至る全楽器パートをプリンス自身が演奏・録音。ミネソタ州チャンハッセンにあったプリンスの自宅スタジオ等で吹き込まれたトラック群は、一切の無駄を排したタイト極まりないグルーヴを宿している。
時代の文脈
1981年はプリンス自身が名盤『Controversy(戦慄の貴公子)』を発表した年でもあり、その創作意欲は爆発的なピークを迎えていた。生演奏ファンクの熱量と、最新のドラムマシン/シンセサイザーによるエレクトロニックな冷徹さ、そしてニューウェイヴの鋭敏な感覚が融合した「ミネアポリス・サウンド」が、本作によって完全に確立された。
また、ステージでこのサウンドを再現するためのバンドとして、後に80年代R&B界を代表するメガ・プロデューサーとなるジミー・ジャム&テリー・ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)をはじめ、ギターの名手ジェシー・ジョンソン(Jesse Johnson)、モンテ・モイア、ジェリービーン・ジョンソンらが招集され、全米最強と恐れられるライブ・ファンク・バンドとしての土台が整えられた。
後世への影響とサウンドの聴きどころ
全6曲という凝縮された構成ながら、長尺のミニマルなファンク・グルーヴがフロアを圧倒する。9分を超えるオープニング「Get It Up」はタイトなビートとシンセ・リフが牽引し、10分に及ぶアーバン・ファンク「Cool」(デズ・ディッカーソン共作)や、エロティックなファンク「The Stick」など、いずれも後世のダンス・ミュージックの教科書となった。シングルでは「Get It Up」がBillboard R&Bチャートで6位、「Cool」が7位を記録し、アルバムも見事にゴールド・ディスクを獲得している。
本作の熱狂は映画『パープル・レイン』でのプリンスとのライバル関係へと結実し、ザ・タイムは全米的な大ブレイクを果たす。さらに、スヌープ・ドッグをはじめとする数多くの西海岸ヒップホップ/G-Funk勢にサンプリングされ、今なおファンクの最高峰として絶大なリスペクトを集めている。
トラックリスト
- A1 Get It Up 9:05
- A2 Girl 5:34
- A3 After Hi School 4:20
- B1 Cool 10:06
- B2 Oh, Baby 4:57
- B3 The Stick 8:23
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Timeは、ミネソタ州ミネアポリスで結成されたファンク/ソウル・バンドだ。プリンスがワーナー・ブラザースと結んだ契約の条件を使い、自作曲の受...
The Time のプロフィール・作品一覧The Time の他のレビュー