Prince - Come (1994)
Prince 1994

Prince - Come (1994)

Rock Pop Funk / Soul Pop Rock Funk Jazz-Funk Contemporary R&B Minneapolis Sound

Prince『Come』

1994年にリリースされたPrinceの15作目のスタジオ・アルバム。ワーナーとの対立が深まるなかで、Prince名義としてはワーナーから出た最後のアルバムになった。ジャケットの「Prince 1958-1993」という表記、そして〈ラヴ・シンボル〉への改名後に出た作品であることが、この時期の位置づけをそのまま示している。

制作背景・エピソード

ジャケットの「Prince 1958-1993」は葬儀を思わせるモチーフで、「プリンス」という名前は1993年に象徴的に死に、ラヴ・シンボルとして生まれ変わったという意味が込められている。写真はバルセロナのサグラダ・ファミリアの前で撮られたもので、テリー・ガイデセンの写真集『Prince presents The Sacrifice of Victor』からとられている。

収録曲の多くは、きわめて多作だった1993年初めにペイズリー・パーク・スタジオとレコード・プラントで録音された。「Race」だけは1991年、『Love Symbol』アルバムのセッションの曲だ。もともとの提出版にはタイトル曲が入っておらず、「Interactive」「Endorphinmachine」「Strays of the World」なども含まれていたが、ワーナー側はその内容に強い不満を示したという。副社長マリールー・バドーは「会社はあのアルバムにひどく腹を立てていた」と振り返っている。

その後、Princeは1994年3月に再提出を行い、11分に引き延ばした「Come」を1曲目に据えた版へ組み替えた。最初の版にあった「Poem」は曲間をつなぐパートに再配置され、「Letitgo」は最終提出の直前に新たに書かれた。一方で、ヒット曲「The Most Beautiful Girl in the World」は収録を拒み、『The Gold Experience』に回している。

「Come」「Pheromone」「Dark」「Loose!」「Space」「Race」「Orgasm」は、1993年のステージ・ショー『Glam Slam Ulysses』のために書かれた曲群でもある。これはホメロスの『オデュッセイア』をゆるく下敷きにした企画で、「Pheromone」はキルケーの場面で使われた。ショーはロサンゼルスのPrinceのクラブでメディアや業界関係者に披露されたが、ロサンゼルス・タイムズに「ただただ馬鹿げている」と評されるなど批評家の反応は冷たく、短命に終わっている。

演奏面では、ニュー・パワー・ジェネレーションのマイケル・B.、ソニー・T.、トミー・バーバレラ、ミスター・ヘイズが参加し、エリック・リーズがフルートを吹いている。「Come」が絶頂のことを歌っているのかと問われたプリンスは、「どこへ来る? 誰のもとへ? 何のために? そう受け取るのは君の見方だよ」と答えている。「Orgasm」では1981年の『Controversy』収録曲「Private Joy」のギター・フィードバックが流用され、ヴァニティの声は1983年の未発表曲「Vibrator」用に録られたものが使われた。

時代の文脈

『Come』は、ワーナーとの公の対立のさなかに出た作品で、発売時点では「古い素材」とPrince自身が扱った時期もあった。のちには自身のサイトで「契約上の義務」と呼んでいる。ただし実際には、『The Gold Experience』と同じ時期のセッションから生まれた曲が多い。ワーナーは市場の飽和を懸念し、『The Gold Experience』との同時発売も認めなかった。

プロモーションはレーベル側からも本人側からもほとんど行われず、ツアーも組まれなかった。同時期には、Princeがプロデュースした別アーティストの録音を集めた作品も出ている。

評価と反応

アルバムは全米15位にとどまり、1981年以来初めてトップ10シングルの出ないアルバムになった一方、全英では1位を記録し、ヨーロッパ各国でもトップ10入りした。シングル「Letitgo」は全米31位・R&B10位。米・英・仏・スペインでゴールド認定を受けている。発売当時の評価は割れ、ローリング・ストーン誌は2つ星、NMEは10点中7点とした。

収録曲では、「Come」と「Pheromone」が露骨な性的テーマを扱い、「Papa」は児童虐待とネグレクトを歌い、「Race」は人種をひとつにまとめようと呼びかける社会的なメッセージを持つ曲だ。

盤の情報

今回のヨーロッパ盤は、Made in Germany by Warner Music Manufacturing Europeとされ、WMME Alsdorfのマトリクスが入る。カバーには米国向けの「Parental advisory explicit lyrics」表記はなく、米国流通盤とはそこが異なる。

トラックリスト

  1. A I Come 11:13
  2. A II Space 4:28
  3. A III Pheromone 5:08
  4. A IV Loose! 3:27
  5. B V Papa 2:48
  6. B VI Race 4:28
  7. B VII Dark 6:10
  8. B VIII Solo 3:48
  9. B IX Letitgo 5:33
  10. B X Orgasm 1:39

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Prince

Prince

Princeは、1958年6月7日にアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで生まれたシンガー、ミュージシャン、ソングライター、作曲家、編曲家、サウンドエンジニ...

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