Tina Turner - Foreign Affair (1989)
Tina Turner『Foreign Affair』――ヨーロッパで大きく広がった1989年作
Tina Turnerの『Foreign Affair』は、1989年9月18日にリリースされた7作目のソロ・スタジオ・アルバムである。前作『Private Dancer』で80年代の第一線に完全復帰したあと、その勢いを受けて作られた一枚で、制作と録音は1988年から89年にかけてニューヨークのThe Hit Factoryとパリのパテ・マルコーニ・スタジオで進められた。アメリカのロック、ソウル、ポップを横断しながら、当時のヨーロッパ市場で大きく支持された作品としても知られる。
アルバムの位置づけ
このアルバムは、Tina Turnerの再浮上期をさらに押し進めた作品として見ると分かりやすい。『Private Dancer』が1984年に大きな成功を収めたあと、『Foreign Affair』ではその延長線上にある堅実なポップ・ロック路線がより明確になっている。制作陣にはダン・ハートマン、ロジャー・デイヴィス、ルパート・ハイン、グラハム・ライル、トニー・ジョー・ホワイト、アルバート・ハモンドらが参加し、楽曲ごとに色合いが少しずつ変わる構成になっている。
全体を通して、歌の押し出しは強いまま、演奏は比較的整理されている。80年代後半らしい乾いたドラム、輪郭のはっきりしたギター、サックスの入れ方など、当時のAORやポップ・ロックの文法が見える。そこにTina Turnerの声が乗ることで、単なる時代色だけでは終わらない張りが出ている。
代表曲「The Best」と「Steamy Windows」
この盤を語るうえで外せないのが「The Best」である。マイク・チャップマンとホリー・ナイトによる曲で、もともとは1988年にボニー・タイラーが録音したナンバーだが、Tina Turner版はブリッジと転調が加えられ、より直線的な高揚感を持つ仕上がりになっている。エドガー・ウィンターのサックス・ソロも印象的で、楽曲の推進力をそのまま押し上げている。英米豪でチャート上位に入り、のちに彼女の代表曲として定着した。
もう一つの柱が「Steamy Windows」。トニー・ジョー・ホワイト作のこの曲は、泥臭いギター、ハーモニカ、シンセが絡むファンキーな作りで、アルバムの中でも特に土の匂いが強い。Tony Joe Whiteは「Undercover Agent for the Blues」でも存在感を見せており、スワンプ・ロックの感触をこの作品に持ち込んでいる。後年、彼自身がこの2曲をセルフカバーしている点も興味深い。
録音と参加ミュージシャンの輪郭
タイトル曲「Foreign Affair」ではダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーがギターを担当しており、楽曲に少し硬質な色を加えている。ゲイリー・バーナクルは複数曲でサックスを吹き、アルバム全体の音像にまとまりを与えている。録音地がニューヨークとパリに分かれていることも、この作品の広がりと国際感を裏づける要素になっている。
また、本盤のB6にはTony Joe White Musicの著作権表記と、パテ・マルコーニ・スタジオで録音されたボーカルのクレジットがある。こうした細部からも、ヨーロッパでの制作・流通の比重が大きい作品であることが見えてくる。
ヨーロッパでの強い支持
『Foreign Affair』はアメリカでは全米31位と控えめな成績だった一方、ヨーロッパで大きなヒットとなった。全英1位を獲得し、Tina Turnerにとって初の英国首位アルバムとなったほか、ドイツ、スイス、スウェーデン、オーストリアでも1位を記録している。ヨーロッパ・アルバム・チャートでも4週連続1位に達し、全世界で約600万枚を売り上げたとされる。英国で5×プラチナ、ドイツで2×プラチナ認定という実績も、この盤の立ち位置をはっきり示している。
このヨーロッパ盤について
今回の盤は1989年のEuropeプレスで、Capitol Recordsのカタログ番号は064 7 91873 1。バック右下のエンボスEMI表記も確認できる。Capitol作品らしい設計だが、当時のヨーロッパ流通ではEMIの存在感も強く、実際の盤面の印象にはその時代のレーベル事情が反映されている。オリジナル期のヨーロッパ盤として、アルバムがもっとも勢いを持っていた時期の空気をそのまま伝える一枚である。
Tina Turnerのディスコグラフィーの中では、80年代の復活を単発で終わらせず、ヨーロッパを中心にさらに広げた作品として位置づけやすい。ソウル、ポップ、ロックの接点に立ちながら、彼女の声の強さと楽曲の分かりやすさがそのまま前面に出たアルバムである。
トラックリスト
- A1 Steamy Windows 4:02
- A2 The Best 5:28
- A3 You Know Who (Is Doing You Know What) 3:45
- A4 Undercover Agent For The Blues 5:19
- A5 Look Me In The Heart 3:42
- A6 Be Tender With Me Baby 4:16
- B1 You Can't Stop Me Loving You 3:59
- B2 Ask Me How I Feel 4:45
- B3 Falling Like Rain 4:03
- B4 I Don't Wanna Lose You 4:19
- B5 Not Enough Romance 4:03
- B6 Foreign Affair 4:26
動画プレイリスト
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Steamy Windows (2021 Remaster)
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The Best (2021 Remaster)
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You Know Who (Is Doing You Know What) (2021 Remaster)
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Undercover Agent for the Blues (2021 Remaster)
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Look Me in the Heart (2021 Remaster)
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Be Tender with Me Baby (2021 Remaster)
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You Can't Stop Me Loving You (2021 Remaster)
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Ask Me How I Feel (2021 Remaster)
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Falling like Rain (2021 Remaster)
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I Don't Wanna Lose You (2021 Remaster)
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Not Enough Romance (2021 Remaster)
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Foreign Affair (2021 Remaster)