Yellow Magic Orchestra = イエロー・マジック・オーケストラ - Solid State Survivor = ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー (1979)
Yellow Magic Orchestra『Solid State Survivor』(1979)
1978年に始動したイエロー・マジック・オーケストラの2作目にあたるアルバム。1979年に日本でリリースされ、アルファの品番はALR-6022。前作で立ち上がった「電子音楽をポップソングの形に落とし込む」方法を、さらに明確に押し出した作品として知られている。坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣の3人が核となる編成で、当時のシンセサイザーやシーケンサー、録音技術を使いながら、メロディとリズムの輪郭をはっきりさせた作りが印象的だ。
YMOの初期を語るうえで、本作はかなり重要な位置を占める。デビュー作が実験性とコンセプトの強さを前面に出していたのに対し、このアルバムでは曲単位の完成度がさらに上がり、結果として大きなヒットにつながった。オリコンではアルバム1位を記録し、累積売上も100万枚を超えている。日本でテクノポップが一般層まで広がる流れを作った作品として扱われるのも自然なことだ。
収録曲と代表曲
この盤では「Technopolis」「Rydeen」「Behind the Mask」といった曲が特に重要だ。なかでも「Technopolis」はアルバム冒頭から機械的な反復と軽快な推進力を示し、YMOのイメージを決定づけた1曲として定着している。「Rydeen」はのちにYMOの代表曲として広く知られ、ライブでも長く存在感を持ち続けた。「Behind the Mask」はもともとセイコーのCM向けに構想された曲として知られ、アルバムの中でも輪郭のはっきりしたポップ性を持っている。
収録曲の中では、ビートの組み立てや音色の選び方に、同時代のクラフトワークと近い感覚がある一方で、YMOはより軽い足取りと日本語圏のポップ感覚を持ち込んでいる。無機質さだけで押し切らず、旋律やフックをきちんと残している点が、この時期のYMOらしさにつながっている。
サウンドの特徴
録音は東京・芝浦の“A”スタジオで行われている。クレジットや資料を見ると、当時の新しい電子楽器を積極的に使いながら、音像を整理していったことがうかがえる。とくに坂本龍一のアーカイブ資料では、Korg PS-3100を多用したことが示されており、細かな音の粒立ちと、上に伸びるシンセの響きがアルバム全体の印象を作っている。電子音が前面に出ていても、単なる実験音楽に寄らず、曲としてのまとまりが強い。
聴いていてまず感じるのは、1音1音の配置がかなり明確なことだ。低音は詰め込みすぎず、ドラムは輪郭が見えやすく、上モノのシンセは装飾ではなく曲の骨格として鳴っている。音数は多いのに、空間が潰れていない。1979年の日本のポップ・アルバムとしては、かなり先へ進んだ作りだ。
同時代の文脈
1970年代末の電子音楽は、欧米ではクラフトワークやディスコ以後の機械的なグルーヴが広がっていた時期にあたる。YMOはその流れを日本で受け止めつつ、広告、テレビ、ポップスの感覚まで取り込み、独自の形にした。結果として本作は、のちのシンセポップやテクノポップの参照点になり、80年代の多くの電子系ポップ・アーティストに影響を与えた盤として語られている。
また、YMOはこの作品以降、単なるスタジオ・プロジェクトではなく、継続的に活動するグループとしての性格を強めていく。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人がそれぞれの個性を保ちながら、ひとつのバンドとして機能していることが、このアルバムではよく見える。
オリジナル盤について
日本盤は帯付き、印刷された内袋付きで流通している。初期の日本盤にはいくつかのバリエーションがあり、この1979年盤は黄帯の第3バージョンにあたるものとして扱われている。アルファ盤らしい視覚的な作り込みも、この時代のコレクターズ・ポイントになっている。なお、のちの再発では帯やレーベル表記、流通元が変わるが、ここでのオリジナル日本盤は、1979年当時の空気をそのまま伝える仕様だ。
まとめ
『Solid State Survivor』は、YMOが日本で大きく広がるきっかけになった2作目。テクノロジーを前面に出しながら、曲の強さで聴かせる構成がはっきりしていて、「Technopolis」「Rydeen」「Behind the Mask」を中心に、アルバム全体がひとつの時代の輪郭を作っている。電子音楽の文脈に置いても、1979年の日本のポップスとして見ても、位置づけの大きい作品だ。
トラックリスト
- A1 Technopolis 4:14
- A2 Absolute Ego Dance 4:38
- A3 Rydeen 4:26
- A4 Castalia 3:30
- B1 Behind The Mask 3:35
- B2 Day Tripper 2:39
- B3 Insomnia 4:57
- B4 Solid State Survivor 3:55