Vinyl Record Reviews
100% Pure Poisonは、1970年代初頭に西ドイツのツヴァイブリュッケン米軍基地に駐留していたアフリカ系アメリカ人兵士9名で結成されたソウル/ファンク・グループだ。メンバーはJames Wells、Marvin Daniels、Danny Leake、John Jackson、Pie Harrison、Jackie Beard、Slide Beard、Steve Maxwell、James Williamsで、ジャンルとしてはFunk / Soulに分類される。
活動の中心は軍務のかたわらでのバンド演奏で、シカゴ・ソウルの流れを感じさせるハーモニーと、ファンクのリズムを組み合わせた音作りを行っていた。プロフィール情報では、プレ・ディスコ期のソウルを基調にしながら、シカゴやデトロイトの都会的な感触を持つサウンドだったとされる。
グループのリーダーは、シカゴ出身のギタリスト、Danny Leakeだ。彼らは基地で演奏を重ねながら力をつけ、ヨーロッパの音楽見本市MIDEMで英EMIの幹部に直接音源を売り込んだ。軍の外出許可証を偽造して会場に向かったというエピソードも残っている。
その後、1974年に英EMI Internationalから唯一のアルバム『Coming Right At You』をリリースした。録音はロンドンで行われたとされるが、当時はイギリスでの流通が中心で、大きな商業的成功には結びつかなかった。メンバーの兵役満了とともに、バンドは自然に解散した。
Danny Leakeは帰国後、シカゴを拠点にエンジニアとして活動し、スティーヴィー・ワンダーやジャネット・ジャクソンの作品にも関わったとされる。こちらは後年のキャリアとしても知られている。
100% Pure Poisonの音は、シカゴ・ソウルの流れをくむ甘いコーラスと、ファンクの強いビートが同居している。カーティス・メイフィールド系のソウルを思わせる歌のまとまりに、ギター、オルガン、ホーンがしっかり絡む構成だ。
アルバム『Coming Right At You』では、ボーカル曲とインスト曲の両方でこの方向性が確認できる。特にB面冒頭の「Windy C.」は、街の雑踏を思わせる効果音から始まるファンク・インストで、レア・グルーヴ文脈でたびたび取り上げられてきた。
1980年代末から1990年代にかけて、ロンドンや東京のレア・グルーヴ・シーンで100% Pure Poisonは再発見された。ジャイルズ・ピーターソン、ノーマン・ジェイ、橋本徹らによって紹介され、オリジナル盤は高値で取引される盤として知られるようになった。
その後、Soul Brother RecordsやP-Vineから公式リイシューも行われ、クラブ・シーンやヒップホップ周辺での評価が広がった。「Windy C.」はJ DillaやSt. Germainの「Sure Thing」でサンプリングされたことでも知られている。
100% Pure Poisonを聴くなら、まずは『Coming Right At You』全体を通して聴くのが分かりやすい。歌もののソウルと、演奏主体のファンクが同じアルバムの中で並んでいて、バンドの持ち味が見えやすい。
とくに「Windy C.」は、レア・グルーヴの文脈で語られる理由がはっきり出ている曲だ。ソウル好きにもファンク好きにも入りやすいし、70年代初頭の米軍基地発のバンドとしてはかなり完成度の高い録音を残している。