Vinyl Record Reviews
Affinity(アフィニティ)は、1968年にイングランド南部ブライトンで結成された英国のジャズ・ロック/プログレッシブ・ロック・グループ。名門ヴァーティゴ(Vertigo)の「スワール(渦巻き)」レーベル黎明期を代表するグループのひとつとして知られ、ブルース、ソウル、ジャズ、サイケデリックを高度な技巧と音楽性で融合させた唯一無二のサウンドを鳴らした。バンド名は、ジャズ・ピアニストであるオスカー・ピーターソンの名盤『Affinity』に由来している。
サセックス大学の学生だったモー・フォスター(ベース)、リントン・ネイフ(キーボード)、グラント・サーペル(ドラムス)によるジャズ・トリオを母体に、ギタリストのマイク・ジョップ、そして卓越した表現力を持つ女性シンガーのリンダ・ホイル(Linda Hoyle)が加わり結成された。
ロンドンの名門ジャズ・クラブの創設者であるサックス奏者ロニー・スコットのマネジメントに見出され、同クラブのレギュラー・アクトとして出演を重ねるなかで急速に演奏力と知名度を高め、ヴァーティゴとの契約を獲得するに至った。
1970年、ジョン・アンソニーのプロデュースにより発表された唯一のオリジナル・フルアルバム『Affinity』は、英プログレッシブ・ロック/ジャズ・ロック史に輝く傑作として知られる。レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズが壮麗なブラスおよびストリングス・アレンジを提供したオープニング曲「I Am and So Are You」をはじめ、アネット・ピーコックの「Mr. Joy」、ボブ・ディランの楽曲を11分を超えるプログレッシブな長尺アレンジで大胆に再構築した「All Along the Watchtower」など、全編にわたって極めて濃密な演奏が展開されている。
リントン・ネイフの重厚でジャジーなハモンド・オルガン、モー・フォスターの堅実かつしなやかなベース・プレイ、そしてリンダ・ホイルのハスキーでソウルフルなボーカルが交錯するアンサンブルは、同時代の英国バンドの中でも群を抜く完成度を誇る。
1971年にリンダ・ホイルが脱退し、同年にヴァーティゴからソロ名盤『Pieces of Me』を発表。バンドはヴィヴィアン・マコーリフらを迎えて再起を図ったものの、次作の完成には至らず1972年に解散した。
解散後、モー・フォスターはジェフ・ベック、エリック・クラプトン、フィル・コリンズらと共演を重ねる英国屈指のトップ・セッション・ベーシストとして活躍。ドラマーのグラント・サーペルはポップ・グループ「セイラー(Sailor)」を結成して世界的なヒットを放つなど、各メンバーはその後も英国音楽界で重要な足跡を残した。残された唯一のアルバムは、ブリティッシュ・ジャズ・ロック黎明期の芳醇な熱気と気品を今に伝えるタイムレスな名盤として聴き継がれている。