Vinyl Record Reviews
Black Country, New Road(ブラック・カントリー・ニュー・ロード / BCNR)は、イングランド出身の実験的ロック/ポスト・ロック・バンド。2018年にケンブリッジで結成され、ロンドン南部の伝説的ライブハウスThe Windmill(ウィンドミル)を拠点に、black midiやSquidらとともに新世代サウス・ロンドン・シーンの旗手として世界の注目を集めた。
前身バンドNervous Conditionsの解散後、Isaac Wood、Tyler Hyde、Lewis Evans、Georgia Ellery、May Kershaw、Charlie Wayne、Luke Markの7人によって結成された。通常のロック・バンドの編成にとどまらず、サックス、ヴァイオリン、フルート、鍵盤を擁する特異なアンサンブルを構築した。
2019年にDan Carey主宰のSpeedy Wundergroundからデビュー・シングル「Athens, France」を、続いてBlank Editionsから「Sunglasses」を発表。ポスト・パンクとクレズマー、フリー・ジャズを融合させた狂騒的なサウンドが瞬く間にカルト的な話題を呼んだ。
名門Ninja Tuneと契約し、2021年にリリースされたデビュー・アルバム『For the first time』は、全英アルバムチャートで初登場4位を記録し、同年のマーキュリー賞にノミネートされた。
続く2022年の2ndアルバム『Ants From Up There』では、初期のポスト・パンク的焦燥感からチェンバー・ポップやインディー・フォークへと劇的な深化を遂げ、全英3位を獲得。世界中の有力音楽メディアで年間ベストの上位に選出されるなど、批評的・商業的絶賛を浴びた。
『Ants From Up There』のリリースわずか4日前、フロントマンのIsaac Woodが精神的健康の理由により脱退を電撃発表。バンドは過去の楽曲を一切演奏しない方針を打ち出し、残された6人で新曲を一から書き下ろすという前代未聞の再出発に踏み切った。
Tyler Hyde、May Kershaw、Lewis Evansの3人がリードボーカルを分担する新体制へ移行し、2022年12月のロンドン公演を収めたライブ・アルバム/映画『Live at Bush Hall』(2023年)をリリース。「Up Song」をはじめとする演劇的・室内楽的なチェンバー・アンサンブルとして奇跡的な再生を果たした。
ヴァイオリン、サックス、フルート、ピアノを含む多彩な編成が生み出すダイナミズム、静謐と爆発が劇的に交錯するポリリズミックなアンサンブルが最大の特徴。ポスト・ロック、フリー・ジャズ、クレズマーからミュージカル的なチェンバー・ポップまでを横断する折衷的なスタイルは、2020年代の英国および世界のインディー・ロックにおいて最も独創的かつ革新的な存在として高く評価されている。