Vinyl Record Reviews
カルメン・マキ&OZ(Carmen Maki & Oz)は、1972年に東京で結成された日本のロック・バンドである。ハードロックやプログレッシブ・ロックを基軸に、圧倒的な歌唱力と緻密なバンドアンサンブルを展開し、1970年代の日本のロック黎明期における金字塔を打ち立てた。
ボーカルのカルメン・マキは、1969年に寺山修司作詞の「時には母のない子のように」でデビューし、一大センセーションを巻き起こした。その後、歌謡曲の枠を離れて本格的にロックへ転向。ブルース・クリエイションとの共演などを経て、1972年にギタリストの春日博文らとともにカルメン・マキ&OZを結成した。
春日博文が音楽面の中核を担い、ブリティッシュ・ハードロックやアート・ロックに通じる重厚かつドラマチックな楽曲制作とアレンジを主導。リズムセクションには川上茂幸(ベース)や武田治(ドラム)らが参加し、強固な演奏体制を築き上げた。
1974年11月にシングル「午前1時のスケッチ」でレコードデビュー。翌1975年1月にリリースされたファースト・アルバム『カルメン・マキ&OZ』は、当時の日本のロックアルバムとしては異例の10万枚超を売り上げ、日本のロック史における最高傑作のひとつと評された。
特に同作ラストを飾る「私は風」は、春日博文作曲、カルメン・マキ作詞による約12分の大作である。重厚なギターリフと静謐な叙情パートを行き来し、エモーショナルな歌唱がクライマックスへと昇り詰める劇的な構成で、日本の女性ロックの聖典として語り継がれている。沢田研二主演の映画『太陽を盗んだ男』の劇中歌としても使用された。
その後もコンセプチュアルな深みを増した『閉ざされた町』(1976年)や、洗練された演奏を聴かせる『カルメン・マキ&OZ 3』(1977年)などの重要作を発表。野外フェスや大規模コンサートで圧倒的なステージを繰り広げたが、1977年10月に惜しまれつつ解散した。
解散後、カルメン・マキは5Xの結成やソロ活動を展開し、春日博文はRCサクセションの共同プロデュースやギタリストとして日本の音楽界を支え続けた。2018年には41年ぶりとなる復活公演が開催されるなど、現在に至るまで高い評価とリスペクトを受け続けている。