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Craft(クラフト)は、1980年代前半に結成されたイギリスのインストゥルメンタル・プログレッシヴ・ロック/シンフォニック・ロック・トリオだ。メンバーはキーボードのWilliam Gilmour(ウィリアム・ギルモア)、ベースのMartin Russell(マーティン・ラッセル)、ドラムのGrant McKay Gilmour(グラント・マッケイ・ギルモア)の3人。英国シンフォニック・ロックの重鎮The Enidの元メンバーであるWilliam GilmourとMartin Russellを中心に結成されたスタジオ・プロジェクトとして知られている。
Craftは、The Enidで活動していたWilliam GilmourとMartin Russellがバンドを離れた後に立ち上げたユニットだ。そこにGrant McKay Gilmourが加わり、3人編成でスタジオ制作を開始した。なお、Martin Russellは後年に世界的成功を収めるワールド・ミュージック/エレクトロニカ・ユニットAfro Celt Sound Systemを立ち上げた中心人物としても広く知られる。
1984年、CraftはShanghaiレーベルから唯一のアルバム『Craft』を発表した。本作は黄道十二星座(ゾディアック)をテーマにしたインストゥルメンタルのコンセプト作で、「Aries(牡羊座)」から「Virgo(乙女座)」までの6つの星座名を冠した組曲的なシンフォニック大曲が収録されている。
オリジナル盤は長らく廃盤となっていたが、後に未発表テイクやリミックスなどを追加した『First Signs』などのタイトルでCD再発が行われた。
音楽面では、The Enidに連なるクラシック音楽とロックの緻密なオーケストレーションを引き継いでいる。そこに1980年代らしい透明感のあるクリーンな音像と、タイトで洗練されたリズムが加わっているのが特徴だ。
特に特筆すべき点は、専任のリード・ギタリストが存在しないことである。Martin Russellがカスタム・エフェクトやオクターバーを通したアリア製ベースを駆使し、ギターさながらのメロディアスなリード・ラインをすべてベースで弾きこなしている。そこにWilliam Gilmourの重厚でクラシカルなキーボードが重なり合うことで、他にはない独特のシンフォニック・サウンドを生み出している。
Craftを語るうえでThe Enidとの関係は切り離せない。クラシックに根ざした構築美や長編インストゥルメンタルを軸にした作風には、その確かな遺伝子が受け継がれている。
活動期間こそ短かったものの、アルバム『Craft』は英国シンフォニック・プログレの隠れた名盤として高く評価されている。The Enid周辺の系譜としても、1980年代英国プログレッシヴ・ロックのユニークな実験としても外せない重要なグループだ。