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IQ(アイキュー)は、1981年にイギリス・ハンプシャー州サウサンプトンで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドである。1980年代初頭のイギリスで巻き起こった「ネオ・プログレッシブ・ロック(ポンプ・ロック)」ムーヴメントの代表格として台頭し、40年以上にわたり一度もその高いクオリティとシリアスな音楽性を落とすことなく活動を続けている。
ギタリストのマイク・ホームズとキーボーディストのマーティン・オーフォードを中心に結成され、シアトリカルな歌唱で圧倒的な存在感を放つボーカリストのピーター・ニコルス、堅牢なリズムを支えるティム・エサウ(ベース)とポール・クック(ドラム)によってクラシック・ラインナップが確立された。
1980年代前半、ロンドンのマーキー・クラブを拠点に、マリリオン、ペンドラゴン、パラス、トゥエルヴス・ナイトらとともに新たなプログレッシブ・ロックの波を生み出した。1970年代のジェネシスやキャメルが築き上げたシンフォニック・ロックの構築美を正統に受け継ぎながら、ニュー・ウェイヴ以降のエッジの効いたビート感覚と劇的な表現を取り入れ、熱狂的なファン層を獲得した。
1983年の自主制作デビュー・アルバム『Tales from the Lush Attic』、続く1985年の『The Wake』は、初期ネオ・プログの金字塔として世界中のプログレッシブ・ロック愛好家に高く評価されている。
『The Wake』の成功後、ツアーの疲弊や方向性の違いからピーター・ニコルスが一時脱退した。バンドは後任ボーカリストにポール・メネルを迎え、大手レーベルのフォノグラムと契約を結んだ。この時期に発表された『Nomzamo』(1987年)やスティーヴ・ナイがプロデュースを手掛けた『Are You Sitting Comfortably?』(1989年)では、プログレッシブな骨格を保ちつつも、よりコンパクトで洗練されたポップ・センスを前面に押し出した。
しかし、メジャー主導の商業路線に限界を感じたバンドは、1990年にポール・メネルとティム・エサウの脱退を経て再び大きな転換期を迎えることとなった。
1990年代初頭、フロントマンのピーター・ニコルスが電撃復帰を果たし、ベーシストにジョン・ジョウィットが加入した。バンドは自らの創作の完全な自由を確保するため、自主レーベル「Giant Electric Pea(GEP)」を設立した。1993年のアルバム『Ever』では初期のダークでシンフォニックな質感を現代的な音響で蘇らせ、完全復活を印象づけた。
1997年には、長年構想を温めていた2枚組コンセプト・アルバム『Subterranea』を発表した。社会から隔離されて育った男の過酷な運命を描いたこの大作は、シアトリカルなマルチメディア演出を伴うステージとともに、バンドの最高傑作として国内外で絶賛された。
2000年代以降も『The Seventh House』(2000年)、20分を超える大作組曲を収めた重厚な『Dark Matter』(2004年)、キーボーディスト交代期の名作『Frequency』(2009年)と、長尺曲を中心とした意欲作を途切れることなく発表し続けた。
2010年代に入るとニール・デュラントがキーボードに定着し、オリジナル・ベーシストのティム・エサウも復帰した。心理的恐怖や孤立をテーマにしたダークでヘヴィな傑作『The Road of Bones』(2014年)、2枚組の重厚な世界観を誇る『Resistance』(2019年)、そして2025年の『Dominion』に至るまで、壮大なメロトロンの響き、叙情的なギターソロ、陰影に富んだ物語性を武器に、現代プログレッシブ・ロック界の最高峰として君臨し続けている。