Craft - Craft (1984)
Craft 1984

Craft - Craft (1984)

Rock Prog Rock Symphonic Rock

Craft『Craft』

1984年にUKのShanghaiから出たCraftの唯一のアルバム。後年の再発では『First Signs』の題でも流通しているが、ここではオリジナルの『Craft』として見ておきたい。元The Enidのウィリアム・ギルモア(主にキーボード)とマーティン・ラッセル(ベース/キーボード)、そしてグラント・マッケイ・ギルモア(ドラム)によるトリオ編成で制作された作品で、バンドとしての活動もこの一枚に集約されている。

制作背景とエピソード

2022年再発盤の解説では、マーティン・ラッセルが制作の経緯を詳しく語っており、本作は「黄道十二宮」を題材にしたアルバムとして組み立てられたことが確認できる。収録曲のうち星座を扱う6曲はギルモア/ラッセルの共作で、拡張版には未発表曲「Despina」「Dmitri’s Lament」も加わった。ボーナス曲ではラッセル単独作が多く、曲の並びや構成にもその後の再発で補われた部分がある。

また、レコードのノートには「All the guitar sounds were played on an Aria S.B. 900 bass guitar using a custom pedal board.」とあり、ギター・サウンドがベースギターとカスタム・ペダルボードで作られていたことが明記されている。オリジナル盤は単色のスリーブに12インチの片面インサート、Shanghai/Butt Recordsのカタログ入り内袋が付属し、のちのプレスではツヤのあるジャケットに変わってインサートが付かなくなったという違いもある。

なお、ジャケットのアートワークは「The Twelve Signs of the Zodiac」の6枚の図版をもとにしたものとされ、盤面のクレジットには℗ & © 1984 Music Galore Ltd.と記されている。

時代の文脈

AllMusicは本作を、The Enidの交響的な音楽に近い一方で、よりロック寄りの素材や、行進曲、アイリッシュ・ジグの要素もある作品として紹介している。1984年というリリース年を考えると、The Enidの流れをくむギルモアらが、少人数のインストゥルメンタル編成でアルバムをまとめた形でもある。

レーベルのShanghaiは1980年代に活動したUKのインディペンデント・レーベルで、当時の最低発注単位だった3000枚を前提にした一回限りのプレスを行っていたという。『Craft』もそうした小規模レーベルの枠組みの中で出た作品で、同時代の大きな流通に乗るタイプではなかったことがうかがえる。

後年の再発と再評価

2022年の再発では『First Signs』のタイトルが使われ、Cherry Redの紹介文では「mid-1990s以来の廃盤」とされている。そこでは、ラッセルがライナーでバンドの歴史や制作経緯を詳述したことも案内されている。Prog Archivesでも“lost little gems”として扱われており、埋もれていた作品として再び取り上げられた経緯がわかる。

確認できる範囲では、カバーやサンプリングの記録は見当たらず、後続アーティストへの直接的な影響も記されていない。現時点で追えるのは、再発によって制作背景が補足され、作品単体の情報が整理されていった流れまで。オリジナル盤と再発盤の差も含めて、資料が増えることで見え方が変わったアルバムとして残っている。

トラックリスト

  1. A1 Aries 5:52
  2. A2 Taurus 3:44
  3. A3 Gemini 7:00
  4. B1 Cancer 6:52
  5. B2 Leo 8:29
  6. B3 Virgo 2:24

動画プレイリスト

公開: 2026年11月
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