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Glass Hammerは、1992年にアメリカ・テネシー州チャタヌーガで結成されたシンフォニック・プログレッシブ・ロック・バンドだ。中心人物はマルチ・インストゥルメンタリストのSteve Babb(スティーヴ・バッブ、初期はStephen DeArqe名義も使用:ベース、キーボード、ボーカル、パーカッション)とFred Schendel(フレッド・シェンデル:キーボード、ギター、ドラムス、ボーカル)の2人で、1986年に出会った彼らがJ・R・R・トールキンの『指輪物語』に登場するアラゴルンの物語を題材にしたコンセプト・アルバム『Journey of the Dunadan』の制作を始めたことをきっかけに結成された。
音楽面では1970年代のYes、Kansas、Emerson, Lake & Palmer、Genesisといった黄金期プログレッシブ・ロックからの影響が色濃く、ハモンド・オルガン、メロトロン、ムーグ・シンセサイザーなどのヴィンテージ鍵盤楽器と変拍子、男女混成のボーカル・ハーモニー、クラシック音楽やフォーク/トラッドの要素を組み合わせた長尺のシンフォニック・ロックを展開してきた。
1993年に自主制作で発表された1stアルバム『Journey of the Dunadan』が、インターネットやテレビ通販、電話注文を通じて数千枚の売上を記録したことを受け、BabbとSchendelは本格的なバンド/プロジェクトとして活動を継続することを決めた。
その後、女性ボーカリストのMichelle Young(ミシェル・ヤング、1992〜1997年在籍)とドラマー/ギタリスト/ボーカリストのWalter Moore(ウォルター・ムーア)が加入し、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』および『宇宙三部作』に触発された2ndアルバム『Perelandra(ペレランドラ)』(1995年)を発表。トールキンやC・S・ルイスをはじめとするファンタジー文学や神話、キリスト教的世界観を題材にした物語性の高いコンセプト・アルバム群がバンドの柱となっていった。
Michelle Youngの脱退後、Walter Mooreをメイン・ボーカルに据えた3rdアルバム『On to Evermore(オン・トゥ・エヴァーモア)』(1998年)を経て、2000年の4thアルバム『Chronometree(クロノメトリー)』でプログレ・シーンでの評価を大きく広げた。同作は「プログレ名盤を聴き耽るうちに宇宙人がレコードを通じて自分に語りかけていると信じ込む青年トム」を描いたユーモラスなコンセプト作で、ゲストのBrad Marlerがリード・ボーカルを担当している。
『Chronometree』にバッキング・ボーカルで参加した女性シンガーSusie Bogdanowicz(スージー・ボグダノウィッツ)が正式加入したことで、Babb、Schendel、Moore、Bogdanowiczの4人による長期の中核編成が固まった。このラインナップで、再び『指輪物語』の世界(躍る小馬亭でのライブ演奏という設定を含む)を題材にした『The Middle-Earth Album』(2001年)、ローマ百人隊長とイエスの出会いを描いた『Lex Rex(レックス・レックス)』(2002年)、『Shadowlands(シャドウランズ)』(2004年)、そしてYesのアートワークで知られる巨匠Roger Dean(ロジャー・ディーン)がジャケット・イラストを手がけた2枚組大作『The Inconsolable Secret(悲しみの淵に潜む秘密)』(2005年)を発表した。また、米国のプログレ・フェスティバル「NEARfest」にも出演し、ライブ盤『Live at Nearfest』(2004年)やDVD『Lex Rex Live』(2004年)を残している。
Mooreの脱退後には男性ボーカリストとしてCarl Groves(カール・グローヴズ)を迎え、2007年10月発表の9thアルバム『Culture of Ascent(カルチャー・オヴ・エセント)』では、バンドが長年敬愛してきたYesのオリジナル・ボーカリスト、Jon Anderson(ジョン・アンダーソン)が2曲にゲスト・ボーカルとして参加した。2009年にはBogdanowiczの歌を前面に出したポップ・ロック寄りの10thアルバム『Three Cheers for the Broken-Hearted(スリー・チアーズ・フォー・ザ・ブロークン・ハーテッド)』を発表している。
2009年後半、BogdanowiczとGrovesが一時バンドを離れたことに伴い、新リード・ボーカリストとしてJon Davison(ジョン・デイヴィソン、元Sky Cries Mary)、新ギタリストとしてKamran Alan Shikoh(カムラン・アラン・シコー)が加入した。この新体制で、王道シンフォニック・プログレ路線へ回帰した『If(イフ)』(2010年)、『Cor Cordium(心の中の心)』(2011年)、死後の世界への旅を描いたコンセプト作『Perilous(ペリオス)』(2012年)の3部作を発表し、高い支持を獲得した。
この時期のDavisonの透明感あるハイトーン・ボーカルが注目を集めたことで、2012年2月、Davisonは病気療養のため脱退したBenoît David(ベノワ・ディヴィッド)の後任として本家Yesの正式リード・シンガーに抜擢された。
2013年にはSusie BogdanowiczとCarl Grovesが復帰し、専任ドラマーとしてAaron Raulston(アーロン・ラウルストン)が加入。2014年の14thアルバム『Ode to Echo(オード・トゥ・エコー)』では、Babb、Schendel、Bogdanowicz、Groves、Davisonの現メンバーに加えて旧ボーカリストのMichelle YoungとWalter Mooreもゲスト参加し、歴代のリード・シンガー全員が集結する作品となった。
その後も『The Breaking of the World(ザ・ブレイキング・オヴ・ザ・ワールド)』(2015年)、戦争の恐怖から愛する女性のもとへ帰還しようとする兵士を描きBogdanowiczがメイン・ボーカルを務めた『Valkyrie(ワルキューレ)』(2016年)、2000年作『Chronometree』の主人公トムの中年期のタイムトラベルを描いた続編『Chronomonaut(クロノモノウト)』(2018年)と作品を重ねた。2020年代には、Michael Moorcock(マイケル・ムアコック)のファンタジー小説『メルニボネの皇子(エルリック・サーガ)』や70年代のRush、Hawkwindに触発された剣と魔法のコンセプト3部作『Dreaming City』(2020年)、新女性ボーカリストのHannah Pryor(ハンナ・プライアー)が参加した『Skallagrim - Into the Breach』(2021年)、『At the Gate』(2022年)などを発表している。