Vinyl Record Reviews
Gino Vannelli(ジノ・ヴァネリ、1952年6月16日生まれ)は、カナダ・モントリオール出身のシンガー・ソングライター、コンポーザー。類まれな歌唱力と幅広い声域を持ち、洗練されたAOR/ポップ・センスと、超絶技巧のジャズ・フュージョン/シンセサイザー・サウンドを融合させたクロスオーバー・ミュージックの巨匠として世界的に知られている。
活動初期から、兄のジョー・ヴァネリ(Joe Vannelli、キーボード/シンセサイザー)と弟のロス・ヴァネリ(Ross Vannelli、ソングライター/プロデューサー)との強固な兄弟体制が音楽的支柱となってきた。1972年、兄ジョーとともにロサンゼルスへ渡り、A&Mスタジオの駐車場で共同創設者ハーブ・アルパート(Herb Alpert)を待ち伏せしてデモテープを手渡す直談判を敢行。その熱意と才能に打たれたアルパートが即日オーディションを行い契約を結んだという逸話は有名である。
デビュー作『Crazy Life』(1973年)はアルパートとの共同プロデュースで制作され、ここから彼の本格的なレコーディング・キャリアがスタートした。
1974年の『Powerful People』から「People Gotta Move」がヒットを記録。続く『Storm at Sunup』(1975年)、『The Gist of the Gemini』(1976年)、ロイヤル・フィルと共演した『A Pauper in Paradise』(1977年)と意欲作を連発し、シンセサイザーを大胆に取り入れたスリリングなジャズ・ロック/プログレッシブ・ポップ路線を開拓した。
1978年の『Brother To Brother』は、ヴァネリ3兄弟による共同プロデュース体制で制作され、彼のキャリアにおける最大の商業的成功と芸術的頂点を記録した。弟ロスが作詞作曲を手掛けた極上のAORバラード「I Just Wanna Stop」が本国カナダで1位、米ビルボードHot 100で4位を記録し、グラミー賞最優秀男性ポップ・ヴォーカル賞にノミネート。アルバムはプラチナ・ディスクを獲得し、1979年のジュノー賞で最優秀男性ヴォーカリスト賞と最優秀プロデューサー賞をダブル受賞した。
また、7分を超えるタイトル曲「Brother To Brother」では、名手カルロス・リオスによる伝説的なギターソロをはじめ、圧巻の超絶技巧フュージョン・アンサンブルを提示し、ポップ・ヒットと妥協なきインストゥルメンタル演奏が同居する傑作として絶賛された。
1981年にはアリスタ移籍第1弾『Nightwalker』を発表し、珠玉のバラード「Living Inside Myself」が全米6位の大ヒットを記録。洗練されたアダルト・コンテンポラリー/ソフト・ロックのマスターピースとして高く評価された。
卓越したシンガーとしての表現力と、シンセサイザーを駆使した高度な作編曲能力を兼ね備えたジノ・ヴァネリの音楽は、1970〜80年代のクロスオーバー/ブルーアイド・ソウルの金字塔として現在も多くのミュージシャンから敬愛されている。