Vinyl Record Reviews
Gloria Scott(グロリア・スコット、1946年2月26日 - )は、アメリカ・テキサス州ポートアーサー生まれ、サンフランシスコ・ベイエリア育ちのソウル・シンガー。若き日にスライ・ストーンに見出され、アイク&ティナ・ターナーのバックコーラス「アイケッツ」で腕を磨いた実力派。巨匠バリー・ホワイトの全面プロデュースによる唯一の1970年代リーダー作『What Am I Gonna Do』(1974年)は、壮麗なオーケストレーションと瑞々しく力強いヴォーカルが結実したモダン・ソウル/レディ・ソウルの至高のマスターピースとして、世界中のレア・グルーヴ/ソウル・コレクターから神格化されている。
テキサスからベイエリアに移住したスコットは、叔母のバンド仲間であったスライ・ストーンに歌唱力を見出され、彼が結成したグループ「Gloria Scott & The Tonettes」としてシングル「I Taught Him」を録音。その後、過酷なステージとハイレベルなダンス・歌唱で知られたアイク&ティナ・ターナーのレヴューにおいて「The Ikettes(アイケッツ)」のメンバーとして活動し、全米各地のツアーを通じて圧倒的な歌唱力と存在感を培った。
1970年代初頭、その才能に惚れ込んだ巨匠Barry White(バリー・ホワイト)は、自らのレーベル/プロダクションであるSoul Unlimitedにスコットを迎え入れ、7年間の専属契約を結んだ。ニール・ボガート率いるカサブランカ・レコードの第2弾アルバムとして1974年にリリースされたのが、デビュー作『What Am I Gonna Do』である。ホワイトの重厚なプロデュースと名匠ジーン・ペイジによる優美なオーケストレーションのもと、スコットの芯のある温かなヴォーカルが躍動。タイトル曲「What Am I Gonna Do」や「(A Case Of) Too Much Lovemakin'」など、極上のモダン・ソウルが完成したものの、当時のレーベルのプロモーション不足や配給体制の転換期が重なり、不遇のままアルバム制作から遠ざかることとなった。
リリースから年月を経た1980年代後半以降、ロンドンを中心とするレア・グルーヴ・ムーヴメントやノーザン・ソウル/モダン・ソウル・シーンにおいて彼女の唯一のアルバムは劇的な再発見を遂げ、オリジナルLPは世界中のコレクターが探し求める究極のウォント盤として神格化された。そして2022年、英国の名門Acid Jazz Recordsより実に48年ぶりとなるセカンド・アルバム『So Wonderful』を発表。半世紀近い沈黙を破り、変わらぬ張りと艶を湛えた奇跡の歌声を世界に届けて大きな感動を呼んだ、不屈の「ソウル・サバイバー」である。