Vinyl Record Reviews
Harold Buddは、1936年にカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれた作曲家/ピアニストだ。2020年12月8日、カリフォルニア州アルカディアで亡くなった。ElectronicやAmbientの文脈で語られることが多く、ソロ作品と共作をあわせて30作以上の録音を残している。
幼少期はモハーヴェ砂漠の縁にある町、ヴィクターヴィルで育った。若いころからジャズに関心を持ち、陸軍在籍中にはサックス奏者のアルバート・アイラーとドラマーとして共演している。その後、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校で学び、さらに南カリフォルニア大学へ進んで1966年に卒業した。
初期には、ジョン・ケージ、モートン・フェルドマン、そして画家マーク・ロスコの影響を受けたミニマルで前衛的な作品を書いていた。1970年にはCalArtsで教えていた時期に、同校のブックラ・シンセサイザーを使った「The Oak of the Golden Dreams」を制作している。
その後、アカデミックな前衛音楽の環境に距離を置くようになり、ブライアン・イーノやギャヴィン・ブライアーズとのつながりを通じて活動の方向が変わっていく。1978年には、イーノのObscureレーベルから「The Pavilion of Dreams」を発表した。この作品は、彼の代表作のひとつとしてよく挙げられる。
さらにイーノとの共作「Ambient 2: The Plateaux of Mirror」(1980年)と「The Pearl」(1984年)で広く知られるようになった。ここで聴ける、ペダルを多用しながら残響の中に音を置いていく弾き方は、彼のピアノの大きな特徴として扱われている。本人はアンビエントという枠について距離を置く発言もしていて、カテゴリーそのものにはあまり乗らなかったようだ。
1986年には、コクトー・ツインズとの共作「The Moon and the Melodies」を発表し、全英アルバム・チャートで46位を記録した。その後もコクトー・ツインズのロビン・ガスリーと長く共作を続けたほか、映画「ミステリアス・スキン」や「ホワイト・バード」の音楽も手がけている。
ソロ、共作を通じて録音を重ね、晩年まで活動を続けた。公式サイトやBandcamp、YouTube、SoundCloudなどでも作品や関連情報を追うことができる。
Harold Buddの音楽は、ジャズ、前衛音楽、電子音響の要素が交差している。初期の実験的な作風から、ブライアン・イーノらとの共作で知られる静かなピアノ作品まで、活動の幅は広い。特に、音を急がずに置いていくピアノの扱い方や、残響を前提にした構成が印象に残る。
影響源としては、ケージやフェルドマン、ロスコの名前が挙がる。いっぽうで、ジャズの経験も彼の土台になっている。前衛音楽の理論だけでまとまるタイプではなく、演奏経験と作曲の学びが両方入った人、という見方がしやすい。