Harold Budd ▪ Elizabeth Fraser ▪ Robin Guthrie ▪ Simon Raymonde - The Moon And The Melodies (1986)
Harold Budd 1986

Harold Budd ▪ Elizabeth Fraser ▪ Robin Guthrie ▪ Simon Raymonde - The Moon And The Melodies (1986)

Electronic Rock Ambient Ethereal

Harold Budd ▪ Elizabeth Fraser ▪ Robin Guthrie ▪ Simon Raymonde『The Moon And The Melodies』

1986年に4ADから出た『The Moon And The Melodies』は、ハロルド・バッドと、コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザー、ロビン・ガスリー、サイモン・レイモンドによる共作アルバムだ。名義もバンド名ではなく、4人の個人名を並べた形になっている。収録は全8曲で、フレイザーの歌が入るのはそのうち4曲、残りはインストゥルメンタル。Dif JuzのRichard Thomasがサックスとドラムで参加している。

制作背景・エピソード

制作の始まりについては、関係者の記憶が食い違っている。ロビン・ガスリーとサイモン・レイモンドの記憶では、Channel 4から「ジャンルの違うミュージシャンを組み合わせる」映像企画を持ちかけられたのが発端だった。企画自体は実現しなかったものの、すでにハロルド・バッドとは話が進んでおり、全員が乗り気だったため、アルバムを作ることになったという。

一方でバッドは1980年代のインタビューで、コクトー・ツインズが自作をカバーしたいと出版社を通じて連絡してきたと語っている。後年には、4ADのIvo Watts-Russellを通じてガスリーと知り合い、コクトー・ツインズのライブ後に楽屋を訪ねたとも振り返っている。そこで「エリザベス・フレイザーの声は驚くべきものだった」と述べている。もともとは『The Plateaux of Mirror』の曲を扱う案もあったが、最終的には新しいアルバムを一緒に作る流れになった。

録音にはおよそ1か月かかり、バッドは毎日スタジオに通ったという。スタジオはロンドンのホワイト・シティにあり、近くのパブを気に入っていたとも語っている。演奏面では、バッドがピアノ、フレイザーが歌、ガスリーがギター、レイモンドがベースを担当し、Richard Thomasがサックスとドラムで加わった(クレジットには、彼のバンドDif Juzの許可を得た参加である旨が記されている)。

時代の文脈

『The Moon And The Melodies』は、コクトー・ツインズの『Victorialand』と同じ1986年の作品で、4ADはこのアルバムについて、3人に新しい可能性を示したものの、彼らが再び同じ道をたどることはなかったと記している。サイモン・レイモンドは後に、この作品を「一緒に音楽を作るのを楽しんでいる友人同士の、ある時間の一瞬」と表現した。

ハロルド・バッドにとっては、Brian Enoとの『The Plateaux of Mirror』などで知られるアンビエント作曲家としての活動に続き、ポップのアーティストと組む初めての機会でもあった。コクトー・ツインズの側も、1984年にEnoと会っている。作品は1986年11月10日に4ADから発売された。

後世への影響

この作品は、バッドとガスリーの長い共同作業の始まりになった。2人はその後、『After the Night Falls』と『Before the Day Breaks』(ともに2007年)、『Bordeaux』(2011年)、『Another Flower』(2021年)を発表している。さらに、Gregg Araki監督の映画『Mysterious Skin』(2004年)と『White Bird in a Blizzard』(2014年)の音楽も手がけた。

Arakiは『Mysterious Skin』を自身の最も誇らしい仕事のひとつと呼んでいる。バッドは2007年に、ガスリーの音楽について「旋律的というより、主に質感と身ぶりでできている」と述べ、自分のピアノに加えても旋律の線を乱さないと語っている。2人はパブ好きでも気が合い、ガスリーの家族はロサンゼルスのバッドのもとで休暇を過ごした。バッドの『The White Arcades』の頃には、ガスリーがバッドにエディンバラの正しい発音や、ビターではなく「pint of heavy」を頼むよう教えたという。バッドは2020年12月、新型コロナウイルス感染症の合併症で亡くなった。2024年には、ガスリーがオリジナル・テープからリマスターし、発売から約40年を経て、4ADから初めてアナログで再発された。

サウンドの評され方

Richard Thomasのサックスは「静かに酔いをさます」と評され、アルバムの夢のような雰囲気を深めているとされる。フレイザーの歌詞はいつものように抽象的で、しばしば聴き取れない。批評面では、AllMusicのPeter Stepekが3.5つ星、PopMattersのJohn Bergstromが7点を付けた。

トラックリスト

  1. A1 Sea, Swallow Me 3:09
  2. A2 Memory Gongs 7:28
  3. A3 Why Do You Love Me? 4:52
  4. A4 Eyes Are Mosaics 4:10
  5. B5 She Will Destroy You 4:18
  6. B6 The Ghost Has No Home 7:36
  7. B7 Bloody And Blunt 2:13
  8. B8 Ooze Out And Away, Onehow 3:39

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Harold Budd

Harold Budd

Harold Buddは、1936年にカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれた作曲家/ピアニストだ。2020年12月8日、カリフォルニア州アルカディアで亡くなった。...

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