Vinyl Record Reviews
S.O.U.L.(エス・オー・ユー・エル、Sounds Of Unity and Love)は、1970年にアメリカ・オハイオ州クリーブランドで結成されたファンク/ソウル/ジャズ・ファンク・バンドである。
ラリー・ハンコック(ヴォーカル、オルガン)、リー・ラヴェット(ベース、ヴォーカル)、ガス・ホーキンス(フルート、サックス、ヴォーカル)、ポール・スタブルフィールド(ドラム、ヴォーカル)、バーナード・テイラー(ギター、ヴォーカル)ら、地元クリーブランドのクラブ・シーンで活躍していた手練れのミュージシャンたちが集い結成された。
結成後間もなく、彼らは地元ラジオ局WHKと大手百貨店メイ・カンパニーが共催したバンド合戦(タレント・コンテスト)に出場し、見事優勝を果たした。この勝利をきっかけに、ニューヨークの名門レーベル「Musicor Records」とのレコーディング契約を獲得した。
1971年にデビュー・シングル「Down In The Ghetto」をリリースすると、地元を中心に確かな手応えを掴み、レーベルの後押しを受けて本格的なアルバム制作へと突入した。
S.O.U.L.の最大の魅力は、タイトで土臭いヘヴィ・ファンク・グルーヴと、ジャズ由来の洗練されたコード感覚の融合にある。特にガス・ホーキンスが聴かせる叙情的なフルートや熱気あふれるサックス、ラリー・ハンコックのファンキーなハモンド・オルガンが織りなすインストゥルメンタル・アンサンブルは、他のファンク・バンドとは一線を画す深い陰影を醸し出している。
1971年に発表されたファースト・アルバム『What Is It』は、彼らの真骨頂である猛烈なインスト・ファンク「Burning Spear」や「Down In The Ghetto」を収録したレア・グルーヴ史上の金字塔である。続く1972年のセカンド・アルバム『Can You Feel It』では、さらにメロウでスピリチュアルなジャズ・ファンク路線へと昇華し、「Peace of Mind」や哀愁漂う「To Mend A Broken Heart」など珠玉の名演を残した。
1971年から1974年にかけてMusicorから計8枚のシングルを発表し、1975年にはMusicor傘下のDynamoレーベルからもシングルをリリースしたが、全国的な商業ブレイクには恵まれず、1970年代半ばにバンドは静かに活動を終えた。
しかし1980年代後半以降、英米のレア・グルーヴ・ムーヴメントおよびヒップホップのサンプリング・カルチャーにおいて、彼らの作品は発掘され熱狂的な支持を受けることとなった。「Burning Spear」はピート・ロックをはじめとするトップ・プロデューサーに愛好され、「Peace of Mind」はメイン・ソース(Main Source)の名曲「Peace Is Not the Word to Play」やM.O.P.らに引用された。
オハイオ・ファンク特有の重量感とジャジーな気品を兼ね備えたS.O.U.L.のレコードは、今日でもヒップホップやクラブ・ミュージックのルーツとして世界中のディガーや音楽ファンから深く愛され続けている。