Vinyl Record Reviews
Peter Frampton(ピーター・フランプトン、1950年4月22日生まれ)は、イギリス・ケント州ベッケナム出身のロック・ギタリスト、シンガーソングライター。1976年に発表した歴史的2枚組ライブ・アルバム『Frampton Comes Alive!』が世界的な大ヒットを記録し、ギターを人の声のように歌わせる「トークボックス」の代名詞としてロック史に不滅の足跡を刻んだレジェンドである。
幼少期より類まれなギターの才能を発揮したフランプトンは、学生時代にはデヴィッド・ボウイと同じ学校に通い、校庭でジャム・セッションを繰り広げていた。10代半ばでポップ・グループ「ザ・ハード(The Herd)」に加入し、甘いマスクと卓越したプレイで一躍アイドル的人気を獲得する。
しかし、より本格的なブルース・ロックを志向した彼は、1969年に元スモール・フェイセズのスティーヴ・マリオットとともに「ハンブル・パイ(Humble Pie)」を結成。ツイン・ギターによる重厚でブルージーなリフとダイナミックな演奏で初期ハード・ロックの礎を築いたのち、自らのソングライティングを追求するため1971年に脱退し、ソロ活動へと舵を切った。
ソロ転向後、ジョージ・ハリスンのレコーディングに参加した際にペダル・スティール奏者のピート・ドレイクから教わった「トークボックス(トーキング・モジュレーター)」を自身のサウンドに導入。アンプから送られたギターの音をビニール・チューブを通じて口の中に響かせ、母音や言葉の形に変形させるこのエフェクトは、フランプトンの卓越したメロディ感覚と結びつき、世界中のリスナーを魅了した。
その魅力が頂点に達したのが、1976年の2枚組ライブ盤『フランプトン・カムズ・アライヴ!(Frampton Comes Alive!)』である。「Show Me the Way」「Baby, I Love Your Way」「Do You Feel Like We Do」などの名演を収めた本作は、米ビルボード・チャートで通算10週間にわたり1位を独占し、1976年の年間最優秀アルバムを獲得。全世界で1700万枚以上を売り上げ、ロック史上最も商業的に成功したライブ・アルバムのひとつとして社会現象となった。
1980年代には旧友デヴィッド・ボウイのアルバム『Never Let Me Down』や世界ツアー「Glass Spider Tour」にリード・ギタリストとして参加し、ギター・ヒーローとしての圧倒的な実力を再証明。リンゴ・スターのオール・スター・バンドなどとも共演を重ねた。
2007年にはインストゥルメンタル・アルバム『Fingerprints』で見事にグラミー賞(最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞)を受賞。近年は難病の封入体筋炎(IBM)を患いながらも座奏スタイルで熱演を続け、2024年には長年の功績を讃えられ「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)」入りを果たした。キャッチーなポップ・センスと高度なギター・テクニックを完璧に融合させた、英国ロック界屈指の巨匠である。