Vinyl Record Reviews
リカルド・マレロ&ザ・グループ(Ricardo Marrero & The Group)は、1970年代半ばから後半にかけてアメリカ・ニューヨークで活動した伝説的ラテン・ファンク/ジャズ・フュージョン・グループ。ピアニスト、ヴィブラフォン奏者、作編曲家のリカルド・マレロを中心に、スパニッシュ・ハーレムやサウス・ブロンクスの一流ミュージシャンたちが集結して結成された。
本グループは、後に世界のジャズ/R&Bシーンを牽引する大スターたちの若き出発点となったことでも知られる。透明感あふれる美声で名高い女性シンガーのアンジェラ・ボフィル(Angela Bofill)がリード・ヴォーカルとして初期から参加したほか、名門GRPレコードの看板フルート奏者となるデイヴ・ヴァレンティン(Dave Valentin)がフルート演奏やアレンジに深く携わっていた。さらにエラスト・バーナード、ティト・マレロ、マイク・ヴィニャスら実力派が強固なアンサンブルを固めた。
1976年に自主制作映画『Tecato』のサウンドトラックなどを編纂したアルバム『A Taste』を発表。続く1977年には、悪名高い税金対策用レーベルとして知られるTSG Recordsからセカンド・アルバム『Time』をリリースした。
アフロ・キューバン・リズムとサルサの躍動感、洗練されたジャズ・ファンク/フュージョン、そして甘美なソウル/ブーガルーのスピリットが濃密にブレンドされた本作は、70年代ラテン・フュージョンの最高到達点の一つと称される。しかし特殊なレーベル事情により流通量が極めて限られていたため、オリジナルLPは世界中のヴァイナル・コレクター垂涎のメガ・レア盤となった。
グループの代名詞となったキラー・ラテン・ファンク「Babalonia」は、激しくうねるパーカッションと鋭いホーン・セクション、疾走するベースラインがフロアを直撃する不朽のダンス・アンセムである。一方でアンジェラ・ボフィルの澄み切った歌唱とデイヴ・ヴァレンティンのフルートが光る至福のメロウ・ソウル「My Friend」、マリーナ・ショウの名曲をラテン・フュージョンへと昇華させた「Feel Like Makin' Love」など、多彩で奥深い音楽性を提示した。
1990年代以降、ジャイルス・ピーターソンやケニー・ドープら世界的なトップDJによる再評価や度重なるリイシューを経て、その評価は神格化された。ニューヨークのストリートから生まれたラテンとブラック・ミュージックの交差点に咲いた、奇跡的な宝石として燦然たる輝きを放ち続けている。