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Sir Joe Quarterman & Free Soulは、ワシントンD.C.出身のシンガー/ソングライター、Joe Quartermanが率いたファンク・バンドだ。ジャンルはFunk / Soul、スタイルもFunkとSoulにまとまっている。メンバーにはSir Joe Quarterman、George R. Lee、Allen Stewart、Gregory C. Hammonds、Karissa Freeman、Willie Parker Jr.が並ぶ。
「Sir」という呼び名は高校時代に付いたものとされている。Quartermanは1960年代半ばにヴァージニア州立大学に通い、同時期にはトランペット奏者としてThe El Corolsに在籍していた。さらに、ワシントンD.C.を訪れたスティーヴィー・ワンダーやレイ・チャールズのバックも務めていたという。
1969年ごろ、Quartermanは学校の同級生や地元のバンド仲間だったミュージシャンたちとFree Soulを結成した。レコード会社側はQuartermanをソロ・シンガーとして売り出そうとしたが、本人はバンドを切り離す形を拒んだとされている。その後、アトランティックなどには断られたものの、最終的にGSF Recordsと契約した。
活動の土台には、ジェームス・ブラウン、スライ・ストーン、シカゴの影響があったとされる。D.C.ではチャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズらと並ぶ存在としてファンク・シーンで活動していた。
代表曲は「(I Got) So Much Trouble in My Mind」だ。メリーランド州シルヴァースプリングのTrack Recording Studioで録音され、1973年にR&Bチャートのトップ30入りを果たした。ブラスが前に出るハードなファンク・グルーヴに、公害や依存症といった社会問題を歌った内容が重なっている。
この曲は世界中のファンクDJの定番として使われてきたほか、ゲーム『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』のラジオ局でも流れた。バンド唯一のアルバム『Sir Joe Quarterman & Free Soul』も1973年の作品だ。
もうひとつ重要なのが「I'm Gonna Get You」だ。こちらはブレイクビーツ・コンピレーション『Ultimate Breaks and Beats』に収録され、ヒップホップのサンプリング・ソースとして広まっていった。
Quartermanは1970年代後半にいったん音楽から離れ、建築の学位を取って建築の道へ進んだ。その後は自主制作のソロ・アルバム『They Want Funky Music』『Alive 'n' Well』を発表している。
2009年からはヨーロッパを中心にライヴ活動を再開した。未発表曲「No Time for Dreaming」は、のちにチャールズ・ブラッドリーのデビュー作(2011年、Daptone)の表題曲としてカバーされている。
Sir Joe Quarterman & Free Soulの音は、D.C.のファンク・シーンの中でもブラスの強さとリズムの押し出しがはっきりしている。ジェームス・ブラウン系の硬いグルーヴに、ソウルの歌心と社会性のある歌詞が重なっているのが特徴だ。
また、1枚のアルバムと少数の楽曲でありながら、DJ文化やヒップホップのサンプリング、ゲーム音楽、後年のソウル・リヴァイバルにまでつながっている。Quarterman自身は「私は音楽と詩を結婚させる。まず書き手であり、次にプロデューサー、歌手は3番目」と語っている。
こうして見ると、Sir Joe Quarterman & Free Soulは、D.C.ファンクの現場から出てきて、その後のリスニング文化の中でも長く参照されてきたグループだ。代表曲を入口にすると、当時のファンクが持っていた演奏の強さと、歌詞に入る社会的な視点の両方が見えてくる。