Vinyl Record Reviews
The Winstons(ザ・ウィンストンズ)は、1960年代後半にアメリカ・ワシントンD.C.で結成されたソウル/ファンク・グループである。中心人物のリチャード・スペンサー(Richard Spencer)を中心に実力派ミュージシャンが集い、タイトなリズムセクションと厚みのあるホーンアンサンブルを武器に活動を展開した。
1969年、メトロメディア・レコード(Metromedia Records)からリリースされたシングル「Color Him Father」は、義父への深い愛情と敬意を綴った歌詞と温かみのあるソウル・バラードとして全米的な共感を呼んだ。全米ビルボードHot 100で7位、R&Bチャートで2位を記録し、100万枚を超えるセールスでゴールドディスクに認定。1970年の第12回グラミー賞では「最優秀リズム・アンド・ブルース楽曲賞(Best R&B Song)」を獲得した。同年には唯一のフルアルバム『Color Him Father』を発表している。
ザ・ウィンストンズの名を音楽史に決定づけたのが、「Color Him Father」のB面に収録されたアップテンポなインストゥルメンタル曲「Amen, Brother」である。楽曲の中盤、G.C.コールマン(G.C. Coleman)が叩いたわずか4小節・約6秒のドラムソロは、後に「アーメン・ブレイク(Amen Break)」と呼ばれ、音楽史上最もサンプリングされたドラムループとなった。
1980年代後半以降、ヒップホップからブレイクビーツ、UKジャングル、ドラムンベースに至るまで、電子音楽やストリート・ミュージックの根幹を支えるリズムとして数万曲単位で引用され続けている。
ザ・ウィンストンズは1970年に解散し、活動期間は極めて短かった。長年にわたりアーメン・ブレイクの権利処理や印税の還元が行われず、メンバーが正当な報酬を受け取れなかった歴史も知られているが、2010年代以降には英国のDJやファンによるクラウドファンディングなど再評価の機運が高まった。心揺さぶるボーカル・ソウルの名曲と、クラブミュージックの礎となった究極のビートの双方を残した希有なグループである。