Vinyl Record Reviews
Unlimited Touchは、1980年にニューヨークで結成されたディスコ/ポスト・ディスコ・グループだ。ジャンルはFunk / Soulで、Boogie、Funk、Discoの要素を持つ。中心メンバーはAudrey Wheeler、Lenny Underwood、Stephanie James、Phil Hamilton、Sandy Anderson、Tony Cintron Jr.の6人で、レイモンド・リードとウィリアム・アンダーソンがCrown Heights Affairの活動を背景に立ち上げたプロジェクトとして始まった。2人は正式メンバーではないが、プロデュース、アレンジ、ミックスを担当している。
グループはPrelude Recordsと契約し、英国ではEpic Records経由で作品を出していた。1981年にはセルフ・タイトルのアルバム『Unlimited Touch』を発表している。代表曲の「I Hear Music in the Streets」はUSダンス・チャートで6位、R&Bチャートで33位を記録し、「Searching to Find the One」もR&B29位、UK76位を記録した。Lenny Underwoodはこの2曲の共作者としてクレジットされている。
ただ、マネジメントやレーベルとの対立があり、1981年末には一度解散している。その後、1983年にAudrey Wheeler、Sandy Anderson、Stephanie Jamesの3人で再結成し、「Yes We're Ready」(1983年)、「Reach Out (Everlasting Love)」(1984年)を発表した。「Reach Out (Everlasting Love)」はUSダンス・チャート54位を記録している。
Unlimited Touchの音楽は、80年代初頭のニューヨークのダンス・ミュージックの流れの中にある。ディスコの直後に出てきたポスト・ディスコの感触があり、リズムはファンク寄りで、ボーカルはソウル色が強い。ブギーらしい軽快なグルーヴと、クラブ向けの展開を持つ楽曲が中心だ。
特に「I Hear Music in the Streets」は、ダンス・フロア向けのビートと、歌ものとしての分かりやすさが両立している曲として扱われている。Lenny Underwoodが共作者に入っている点も、楽曲の作りにバンド内部の感覚が反映されている部分として見ておきたい。
Audrey Wheelerはその後、セッション・シンガーとしてマドンナ、ビリー・オーシャン、フレディ・ジャクソンなどの作品に参加している。1985年にはジェフ・ローバーのヒット曲「Step by Step」でリードを担当し、1987年にはCapitolからソロ・デビューしている。
Sandy Andersonはベーシストとして参加していたが、2020年3月31日に新型コロナウイルス感染症で亡くなっている。ほかのメンバーについては、Unlimited Touchでの活動がグループの核になっている。
Unlimited Touchは当時のヒット規模だけで見ると大きな存在ではないが、「I Hear Music in the Streets」は後年サンプリング素材としても使われている。1997年のランペイジ feat. ビリー・ローレンス「Take It to the Streets」や、1999年のフェイス・エヴァンス「All Night Long」に使われたことが確認できる。こうした使われ方を見ると、楽曲のリズムやフレーズが後のR&Bやヒップホップの制作現場でも参照されていたことがわかる。