Bauhaus - Mask (1981)
Bauhaus『Mask』
Bauhausの2作目『Mask』は、1981年にUKのBeggars Banquetから出たアルバム。デビュー作『In the Flat Field』で注目を集めたあと、バンドは同レーベルへ移籍し、本作がBeggars Banquetからの最初のアルバムになった。録音はロンドンのPlaygroundとJamで行われ、クレジットは4人の共作。プロデュースもメンバー自身が手がけ、エンジニアとしてJohn Etchells、Kenny Jones、そして前年にThe Cure『Seventeen Seconds』を共同プロデュースしたMike Hedgesが参加している。
制作背景と収録曲の動き
ピーター・マーフィーは「シングルを毎回、前のものとまったく違うものにすることが僕らの楽しみのひとつ。スタイルやサウンドに縛られたくない」と語っている。本作ではキーボード、サックス、アコースティック・ギターも導入され、ダニエル・アッシュはギターに加えてサックスも担当した。ジャケットの絵もアッシュによるもの。
先行シングルの「Kick in the Eye」は1981年3月の曲で、アルバムでは「Kick in the Eye 2」として収録された。デヴィッド・Jのファンキーなベースラインが軸になった曲として紹介されている。続く「The Passion of Lovers」は同年6月のシングルで、アッシュのアコースティック・ギターを生かした曲。B面にはメンバーが1人ずつ個別に作った録音をつないだものが入り、その4つ目のパートでアッシュが試した逆回転の手法は、のちにアッシュがTones on Tailで追求していくことになる。タイトル曲「Mask」のビデオは、ノーサンプトンの廃墟となったヴィクトリア朝の靴工場で低予算撮影され、英国のテレビでは一度しか流れなかったという。
時代の文脈
4ADから出たデビュー作『In the Flat Field』(1980)はインディー・チャート1位を取ったが、NMEのAndy Gillには「ゴシック・ロマン風の偽デカダンス」「流行りのBlack Sabbath」と酷評された。バンドの勢いに4ADの体制が追いつかなくなり、親会社にあたるBeggars Banquetへ移ったのが本作である。『In the Flat Field』は今日ではゴシック・ロック初期の作品のひとつとされているが、『Mask』はその流れを広げ、のちに「ゴス」と呼ばれるスタイルの形成を後押しした作品とされる。一方でバンド自身は「ゴス」という呼び名を拒み、「ダーク・グラム」と称していた。
Freq誌のレビューでは、本作にDavid Bowieの『Ziggy Stardust』『Low』『Scary Monsters』、Brian Eno、Marc Bolanらグラム期の影響が聴き取れるとしつつ、「単なる模倣者ではない」と書かれている。翌1982年には、Bowie模倣という批判への返答としてBBCセッションで録音した「Ziggy Stardust」のカバーが全英15位のヒットになり、3作目『The Sky's Gone Out』はバンド最大のヒット・アルバムになった。
後世への影響と再評価
評価では、AllMusicのNed Raggettが「ほぼ完璧なデビュー作よりも、おそらくさらに優れている」と評し、Trouser Pressは「バウハウスの最高の達成」と呼んだ。Classic RockのJonathan Selzerは、「厳格なオーラを失うことなく、より開放的で、内にこもらない音を鳴らした」と書いている。Freq誌は「The Man with the X-Ray Eyes」のリフが、のちにThe Southern Death Cultに借用されたと指摘した。
同じFreq誌は、マーフィーが語りで聴かせる「Of Lilies and Remains」、民話や神話、異教的なイメージをまとった「Hollow Hills」、逆回転のパーカッションで始まる葬送歌のようなタイトル曲(最後はアッシュのアコースティック・ギターで締めくくられる)などを挙げ、タイトル曲にはアンドレ・ブルトン、アントナン・アルトー、ジャン・コクトーのイメージが現れると評している。
また、『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』にも選ばれており、Alexandra Heller-Nicholasは同書で、よりポップ寄りのメロディを取り入れたことで『Mask』が主流の聴き手にも受け入れやすくなったと述べている。2009年には、リマスターにB面曲と未発表曲集、さらに1981年11月9日のハマースミス・パレでのライヴを加えた「Omnibus Edition」も出ている。
全英アルバムチャートは30位。「Kick in the Eye」は全英59位(米クラブ・プレイ・チャートでは29位)、「The Passion of Lovers」は全英56位を記録した。
トラックリスト
- A1 Hair Of The Dog
- A2 Passion Of Lovers
- A3 Of Lillies And Remains
- A4 Dancing
- A5 Hollow Hills
- B1 Kick In The Eye 2
- B2 In Fear Of Fear
- B3 Muscle In Plastic
- B4 The Man With The X-Ray Eyes
- B5 Mask
動画プレイリスト
このアーティストについて
Bauhausは、1978年にイギリスのノーサンプトンで結成されたポストパンク・バンドだ。メンバーはピーター・マーフィー(ヴォーカル)、ダニエル・アッ...
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