Bauhaus - Burning From The Inside (1983)
Bauhaus『Burning From The Inside』
ゴス・ロック/ポストパンクの先駆的バンドであるバウハウス(Bauhaus)が、1983年7月にベガーズ・バンケット(Beggars Banquet)から発表した通算4作目のスタジオ・アルバム。第1期バウハウスのラスト・アルバム(白鳥の歌)となった本作は、代表曲「She's In Parties」をはじめ、バンドの緊張関係とメンバー個々の先鋭的な音楽的探求が結晶化した、陰影深くエクスペリメンタルな傑作である。録音はウェールズの名門ロックフィールド・スタジオ(Rockfield Studios)で行われた。
制作背景・エピソード
レコーディングの初期、フロントマンのピーター・マーフィー(Peter Murphy)が重度の肺炎を患い、入院と長期離脱を余儀なくされるという不測のアクシデントに見舞われた。すでにメンバー間の人間関係が緊張していた中、ギタリストのダニエル・アッシュ(Daniel Ash)、ベーシストのデヴィッド・J(David J)、ドラマーのケヴィン・ハスキンス(Kevin Haskins)の3人はスタジオでの作業を止めず、トリオ編成でソングライティングと録音を続行した。
アッシュとデヴィッド・Jが自らリード・ヴォーカルを分担して多くのトラックを制作したため、マーフィーが病気から回復して復帰した時にはすでにアルバムの大半が形作られており、メンバー間の亀裂は修復不可能なものとなっていた。結果として、アルバム発売直前の1983年7月にバンドは解散を発表。しかし、この3人主導による制作体験は、のちにダニエル・アッシュのトーンズ・オン・テイル(Tones on Tail)や、マーフィーを除く3人によるラヴ・アンド・ロケッツ(Love and Rockets)の結成へと直結することとなった。
時代の文脈
1980年代初頭のポストパンク/ポジティブ・パンクの台頭期において、バウハウスは『In The Flat Field』や『Mask』でシーンの絶対的なアイコンとなっていた。しかし1983年にはシーン自体が多様化し、バンド自身も初期の冷徹なゴシック・パンクから、アコースティック・フォーク、グラム・ロック、ダブ、ジャズ、サイケデリアを呑み込んだ多層的な表現へと進化を遂げていた。本作はその劇的な音楽的拡張とグループの終焉がリアルタイムで刻み込まれた、歴史的転換点を示すドキュメントでもある。
サウンド・聴きどころ
本作の最大の魅力は、ピーター・マーフィー主導の重厚なゴシック演劇性と、アッシュ&デヴィッド・Jによるアコースティック/サイケデリックな実験性が鮮やかなコントラストを描いている点にある。
代表曲「She's In Parties」は、デヴィッド・Jの妖艶なフレットレス・ベースとダニエル・アッシュの空間を切り裂くギター、そしてマーフィーの艶やかなヴォーカルが絶品のゴス・アンセム。初期の「Bela Lugosi's Dead」と対をなす9分超の不穏なサイケデリック・エピック「Burning From The Inside」、前衛演劇家アルトーに捧げられたノイジーな「Antonin Artaud」など、マーフィー参加曲は圧倒的な緊張感を放つ。一方で、デヴィッド・Jがヴォーカルを執りアッシュのサックスが物憂げに響くピアノ・ノワール「Who Killed Mr. Moonlight?」や、アッシュがアコースティック・ギターを爪弾きながら歌う「Slice Of Life」、叙情的な「Hope」など、のちのラヴ・アンド・ロケッツの萌芽を感じさせるメロウで内省的な楽曲群がアルバムに奥深い陰影を与えている。
後世への影響
バウハウス解散後、ピーター・マーフィーはダリス・カー(Dali's Car)やソロとして活動し、残る3人はラヴ・アンド・ロケッツとして全米チャートを賑わせる大成功を収めた。本作が見せたゴス・ロックとオルタナティブ・ロック/アコースティック・サイケデリアの融合は、ナイン・インチ・ネイルズ、ジェーンズ・アディクション、インターポール、スマッシング・パンプキンズなど、90年代以降のオルタナティブ/グランジ/ダークウェイヴのアーティストたちに絶大な影響を与え続けている。
トラックリスト
- A1 She's In Parties 5:45
- A2 Antonin Artaud 4:05
- A3 Wasp 0:18
- A4 King Volcano 3:30
- A5 Who Killed Mr. Moonlight? 4:58
- B1 Slice Of Life 3:54
- B2 Honeymoon Croon 2:52
- B3 Kingdom's Coming 2:25
- B4 Burning From The Inside 9:20
- B5 Hope 3:24
動画プレイリスト
このアーティストについて
Bauhausは、1978年にイギリスのノーサンプトンで結成されたポストパンク・バンドだ。メンバーはピーター・マーフィー(ヴォーカル)、ダニエル・アッ...
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