Bob Theil - Playing It All For Laughs (2003)
Bob Theil 2003

Bob Theil - Playing It All For Laughs (2003)

Folk, World, & Country

Bob Theil『Playing It All For Laughs』について

Bob Theilの『Playing It All For Laughs』は、2003年にベルギーで登場した作品だ。アーティスト自身によるセルフリリースで、レーベル表記はNot On Label (Bob Theil Self-released) / RGTL002。Bob Theilは1982年『So Far』から始まるスコットランド出身のギタリスト/シンガーで、フォークとロックを行き来する作風で知られる人物だが、このアルバムもそのプロフィールどおり、歌とギターを軸にしたつくりが中心に置かれている。作品全体としては、派手な装飾よりも楽曲そのものの輪郭を見せるタイプの1枚という印象が強い。

この作品を捉えるうえでも、英国フォークの流れにある語り口と、ロック寄りのギター表現が重要な手がかりになる。さらに、初期作『So Far』については、Pink Floydを思わせるエレクトリック・リードが一部で使われているとされており、Bob Theilの音楽がアコースティック一辺倒ではないことも分かる。『Playing It All For Laughs』も、そうした背景の延長線上に置けるアルバムだ。

作品の位置づけ

2003年という時期に、ベルギーでセルフリリースされたこのアルバムは、Bob Theilの活動を追ううえで重要な初期の記録といえる。大きなメジャー流通の作品ではなく、自身の表現をそのまま形にしたような性格があり、アーティスト像をつかむには分かりやすい入口になっている。タイトルの『Playing It All For Laughs』も、肩の力を抜いた言い回しだが、音楽の中身まで軽いという意味ではなさそうだ。むしろ、人生や日常を言葉にしていくときの距離感、ユーモアと陰影の両方を含んだ視点がにじむ題名として読める。

また、プロフィールにある通り、Bob Theilはシンガーとしての語りと、ギタリストとしての運びの両方を持つ。英国フォーク系のシンガーソングライターが持つ、歌詞を前に押し出す感覚と、ロックの文脈での演奏性。その中間にある立ち位置が、この作品の基礎になっているように見える。制作面では、彼のデビューLP『So Far』がHallmark Studiosで、Jimmy LitherlandやMark Brzezickiらの助力を得て録音されたことも知られており、周辺に経験豊かなミュージシャンがいる環境で音を組み立ててきた人物でもある。

聴きどころの輪郭

この作品を聴くとき、まず注目したいのは歌とギターの関係だろう。Bob Theilの音楽は、技巧を前面に出して押し切るタイプというより、フレーズの置き方や言葉の運びで楽曲を成立させる方向に重心がある。フォークの素朴さだけで終わらず、ロック由来の押し引きが入ることで、曲の進行に一定の緊張感が生まれる。特にアコースティックな響きの中に、時折エレクトリックな色合いが差し込まれると、作品全体の空気が少し変わる。そうした瞬間に、彼が単なるフォーク・シンガーではないことが見えてくる。

また、比較対象として挙げられる名前の中では、Nick Drakeの内省性やLeonard Cohenの語りの重心、Roy Harperの長い視点を持つ歌の作り方が思い浮かぶ。もちろんそのまま同じではないが、Bob Theilの楽曲にも、歌詞と旋律を分けずに一体で聴かせる感覚がある。メロディが大きく跳ねる場面よりも、言葉の抑揚に沿って少しずつ形を変えていく場面に耳が向く作品だ。そうした意味では、派手なサビで押し切るアルバムというより、曲ごとの語り口を追う楽しみが中心になる。

『Playing It All For Laughs』を聴くと見えてくるもの

このタイトルのアルバムには、軽さと真面目さが同居している。題名だけを見ると気楽な作品にも見えるが、実際にはフォークとロックの接点で歌を書く人間の姿勢が前に出る。Bob Theilの声やギターの扱い方からは、英国シンガーソングライターの系譜にある丁寧な組み立てが感じられ、同時に、歌を単なる内省で閉じない感覚もある。ベルギーで出た作品でありながら、音の背景にはスコットランド出身の作り手らしい英語圏フォークの文脈がはっきり残っている。

なお、この作品には広く知られたヒット曲を前提にした聞かれ方はあまりないようだが、そのぶんアルバム単位でBob Theilの輪郭をつかむには向いている。代表曲を一曲だけ切り出すというより、曲順の中で歌の視点がどう移るか、ギターの響きがどう変わるかを追う方が、この作品の性格には合っている。初期のBob Theilを知るうえで、過不足のない記録という位置づけの1枚だ。

まとめ

『Playing It All For Laughs』は、2003年にベルギーでセルフリリースされたBob Theilの作品で、フォークとロックの間を行き来する彼の作風を示すアルバムだ。英国フォークの流れにある歌心、アコースティックを土台にした構成、ところどころに見えるロック的な押し出し。その組み合わせが、作品全体の輪郭を作っている。派手さよりも、歌い手としての視点とギタリストとしての手つきが見える内容で、Bob Theilという人物を知る入口としても分かりやすい。

トラックリスト

  1. A1 Playing It All For Laughs
  2. A2 Passing Us By
  3. A3 Link l
  4. A4 What's It To You Blues
  5. A5 Nothing To Hide
  6. A6 What We Loose,What We Have
  7. A7 Just The Way It Feels
  8. B1 Legacy
  9. B2 Small Words
  10. B3 Looking At You (Love=Alive)
  11. B4 Beneath These Skies
  12. B5 Link ll
  13. B6 Cast
  14. B7 The Cynics Smile

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