Mike Oldfield = マイク・オールドフィールド - Tubular Bells =  チューブラー・ベルズ (1973)
Mike Oldfield 1973

Mike Oldfield = マイク・オールドフィールド - Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (1973)

Rock Folk, World, & Country Art Rock Folk Rock

Mike Oldfield / Tubular Bells(Japan, Virgin YQ-7005-VR, 1974)

マイク・オールドフィールドの『Tubular Bells』は、1973年に登場したデビュー作であり、Virgin Recordsの初期を象徴する重要作でもある。10代の終わりから20歳前後の若いオールドフィールドが、マルチ奏法と多重録音を駆使して、ほぼ一人で組み上げた2部構成の長編アルバムとして知られている。ロック、フォーク、クラシック的な構成感、民族音楽的な響きが混ざり合い、当時のプログレッシブ・ロックの流れの中でも、かなり独自の位置にある作品だ。

この日本盤は1974年リリース。オリジナルの1973年盤を受けて出た国内盤で、黒地に紫と白の帯が入った半光沢ジャケット、さらに日本語・英語の曲目と解説を載せた2ページのインサートが付く。表記上の細部も含めて、日本市場向けの丁寧な作りが目を引く一枚。盤面のクレジットでは、Side Bの演奏時間がインサートとレーベルで異なっており、インサートでは23:00、レーベルでは23:50と記されている。

作品の骨格と聴きどころ

『Tubular Bells』は、いわゆる歌ものアルバムではない。長い組曲のように場面がつながり、楽器の重ね方や音色の切り替えで展開していく。冒頭の「Tubular Bells」は、この作品を象徴する代表的なパートで、金属的なベルの響きとリズムの積み上げが印象に残る。アルバム全体も、派手なフックで押すというより、細かなモチーフの反復と変形で進む構成。聴いていると、曲というより“組み立ての過程”そのものを追っている感覚がある。

本人はインタビューで、この作品の着想の一部がバッハの《Fugue in Minor》の短い断片を逆向きにした発想にあったと語っている。クラシック由来の感覚を下敷きにしながら、実際の音像はかなり個人的で、当時のロック作品の枠には収まりにくい。録音はThe Manorで行われ、1972年秋から1973年春にかけて進められた。スタジオ録音ならではの重ね方が徹底していて、演奏の手数よりも編集と構成の精度が前に出る。

Virgin初期を決定づけた一枚

このアルバムは、Virgin Recordsの最初期を語るうえで外せない。まだ新興レーベルだったVirginにとって、無名に近かった若いオールドフィールドの作品が大きく評価され、レーベルの存在感を一気に押し上げた。制作面では、ヴィヴィアン・スタンシャルが“Master of Ceremonies”として参加し、各楽器を紹介する語りを担っている。この語りの存在も含めて、単なるインストゥルメンタル作品とは違う独特の顔つきになっている。

後年、冒頭部が映画『エクソシスト』で使われたことでも広く知られるようになったが、アルバムそのものは映画の印象だけで語れる内容ではない。むしろ、長尺の変奏、音の重なり、楽器ごとの質感の違いを追う作品として聴かれてきた。英Official Albums Chartでは1973年7月14日に初登場し、最高1位を記録。発売直後から長く売れ続け、70年代英国ロックの中でもかなり特異なロングセラーになった。

1974年日本盤としての存在感

1974年の日本盤は、オリジナル盤の空気を日本市場に持ち込んだ初期プレスの一つとして興味深い。Virginの初期LPらしい時代感をそのまま残しつつ、国内仕様の帯や解説で受け止めやすくした作り。レーベルにはVirginの初期デザインの流れが見え、時代ごとのVirgin盤を追うコレクターには、こうした仕様差も見どころになる。

『Tubular Bells』は、マイク・オールドフィールドの出発点であり、同時にVirgin Recordsの出発点でもある。のちの彼の作品群を見ても、このアルバムほど「一人で大きな構造を作る」という姿勢が前面に出た作品は少ない。派手な歌声や明快なヒット曲で押す盤ではないが、音の組み立て方そのものに作家性が濃く出た作品として、今も固い存在感を保っている。

トラックリスト

  1. A Tubular Bells = チューブラー・ベルズ 25:00
  2. B Tubular Bells = チューブラー・ベルズ 23:50

動画プレイリスト

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