Childish Gambino - Awaken, My Love! (2016)
Childish Gambino 2016

Childish Gambino - Awaken, My Love! (2016)

Funk / Soul Funk Psychedelic Contemporary R&B Neo Soul

Childish Gambino『Awaken, My Love!』について

『Awaken, My Love!』は、Childish Gambino名義で2016年に発表された3作目のスタジオ・アルバムだ。アーティストとしてのドナルド・グローヴァーが、ラップ中心のイメージから大きく離れ、ソウル、ファンク、ネオソウル、サイケデリックR&Bの方向へ踏み込んだ作品として知られている。Glassnoteからリリースされ、制作面ではLudwig Göranssonとの共同作業が大きな軸になっている。

このアルバムは、ヒップホップ作品として語られることが多かったChildish Gambinoの文脈を更新した一枚でもある。前作までの流れを引きずるというより、1970年代のファンクやソウルの質感を現在の録音環境で組み直したような手触りが強い。レビューではP-Funk的、あるいは70年代ファンクを現代化した作品として触れられることが多く、同時代のR&Bやオルタナティブ寄りのポップ作品とも並べて語られてきた。

作品の位置づけ

Childish Gambinoにとっては、表現の幅を大きく広げた転機にあたるアルバムだ。ラップの比重を下げ、歌唱とバンド・アンサンブルを前面に出したことで、単なる路線変更ではなく、作家性の見え方そのものが変わっている。以後の活動を考えるうえでも、この作品で示された音の選び方や構成感は重要な参照点になっている。

制作はかなり集中的に進められたようで、Göranssonによると、フルバンドで実験する発想から短期間でスタジオ作業が組まれたという。実際、アルバム全体には整えすぎない推進力があり、演奏のうねりと録音の生々しさがそのまま前に出ている。楽曲単位で見ると、細かい音の隙間やコーラスの重なり、ベースの動きが印象を残す。

代表曲と聴きどころ

代表曲としてまず挙がるのは「Redbone」だろう。ファルセットの歌唱、粘るリズム、低音の強いベースラインがはっきりした曲で、アルバムの方向性を広く知らしめた一曲になった。後年の再評価もこの曲が牽引した面が大きい。グラミーでは楽曲自体も高く評価され、アルバム全体の存在感を押し上げた。

ほかにも、冒頭から空気を作る短い導入曲や、ゴスペル的なコーラスを含む曲、ギターとリズム隊が前に出る曲など、曲ごとに役割が明確だ。通して聴くと、1曲ごとの主張が強いというより、音色とリズムの流れでアルバムがつながっていく構成になっている。細部では、ベースの残響、ボーカルの処理、ドラムの乾いた鳴りが耳に残る。

録音と盤の特徴

このUS盤には、無料のデジタル・アルバムダウンロード用コードと、写真やクレジットを載せたインサートが付属している。クレジットでは、オルガン、キーボード、シンセ、V-Drumsの録音がConway Studiosで行われ、木管はEast West Studiosで録られたことが記されている。全曲の録音はThe Factory、合唱はElbo Studios、ミックスも複数のスタジオで行われ、最終マスタリングはBernie Grundman Masteringで仕上げられている。

盤面の情報としては、バーコードの印字がなく、ラベルにⓅ&©表記がある。裏ジャケットの文言やステッカー表記には、2017年の再発盤と異なる点もあるため、初版としての仕様を確認するうえで分かりやすい。GlassnoteからのUSリリースらしく、インディー系レーベルの文脈とメジャー級の話題性が同居したタイトルでもある。

同時代とのつながり

音楽的には、FunkadelicやSly & The Family Stone、Stevie Wonder以後のソウル・ファンクの流れを意識させる部分がある一方で、現代R&Bの質感も保っている。2010年代半ばのブラック・ミュージックの広がりの中で、ロック、ソウル、ヒップホップの境目をまたぐ作品として受け止められたのも自然だろう。実験性と聴きやすさのバランスが、同時代の作品の中でも目立つ。

結果として『Awaken, My Love!』は、Childish Gambinoのアルバムの中でも特に輪郭のはっきりした一枚になっている。チャート面でもBillboard 200で上位に入り、R&B Albumsでは首位を記録した。作品単体の完成度だけでなく、アーティスト像の更新、2010年代R&Bの広がり、そして「Redbone」を中心とした普及力まで含めて記憶されるタイトルだ。

トラックリスト

  1. A1 Me And Your Mama 6:19
  2. A2 Have Some Love 3:44
  3. A3 Boogieman 3:37
  4. A4 Zombies 4:42
  5. A5 Riot 2:05
  6. A6 Redbone 5:27
  7. B1 California 2:45
  8. B2 Terrified 4:15
  9. B3 Baby Boy 6:22
  10. B4 The Night Me And Your Mama Met 3:34
  11. B5 Stand Tall 6:11

動画

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Funk"

toast