Cold Blood - Cold Blood (1969)
Cold Blood 1969

Cold Blood - Cold Blood (1969)

Rock Funk / Soul Pop Rock Funk Soul

Cold Blood『Cold Blood』

1960年代末期のサンフランシスコ・ベイエリアにて、ロックの爆発力と漆黒のR&B/ファンクを高密度で融合させて誕生したブラス・ロック・グループ、Cold Blood(コールド・ブラッド)。小柄な体躯から大地を揺るがすようなハスキー&ソウルフル・シャウトを繰り出す女性シンガー、Lydia Pense(リディア・ペンス)を擁する彼らが、1969年に放った記念碑的デビュー・アルバムが本作『Cold Blood』である。タワー・オブ・パワー(Tower of Power)とともに「イーストベイ・ファンク(East Bay Funk)」の礎を築いた金字塔として、半世紀以上を経た現在も熱狂的な支持を集めている。

制作背景・エピソード

コールド・ブラッドのデビュー劇の背景には、同郷の伝説的シンガーJanis Joplin(ジャニス・ジョプリン)との友情と推薦があった。1968年、リディア・ペンスの歌声を聴いてその天賦の才に驚嘆したジャニスは、サンフランシスコ・ロック・シーンの帝王であった興行師Bill Graham(ビル・グラハム)に対し「絶対にこの子の歌を聴いてほしい」と熱烈に推薦した。

グラハムは殿堂フィルモア・ウェストでのオーディションで彼らの熱演を目撃し、その場で契約を決断。彼自身が新たに設立した「サンフランシスコ・レコーズ(San Francisco Records、配給はAtlantic)」の契約第1号アーティストとして送り出したのが本作(カタログ番号:SD 200)であった。プロデューサーには、サンタナやモビー・グレープ、後にハービー・ハンコックの『Head Hunters』を手掛ける名匠David Rubinson(デイヴィッド・ルビンソン)が起用され、バンドの生々しいエネルギーを鮮烈に捉えている。

時代の文脈

1969年当時のサンフランシスコは、サイケデリック・ムーブメントが成熟を迎える一方で、ブラッド・スウェット&ティアーズやシカゴの登場に呼応するように、重厚なホーン・セクションを導入したブラス・ロック/ジャズ・ロックが台頭していた。しかし、東海岸のグループがジャズ寄りのアプローチを指向したのに対し、イーストベイのコールド・ブラッドは徹底してメンフィス・ソウル、モータウン、シカゴ・ブルースの強靭なブラック・グルーヴを骨格に据えた。ロックのダイナミズムとブラック・ミュージックのシンコペーションが理想的な形で結実した、まさにベイエリアならではのクロスオーバー・サウンドであった。

サウンドと聴きどころ

なんと言っても最大の聴きどころは、リディア・ペンスの規格外の歌唱力である。アレサ・フランクリンやエタ・ジェイムズへの敬愛を露わにしながら、ジャニス・ジョプリンにも比肩するエモーショナルなシャウトを叩きつけるその歌声は圧巻のひと言。

冒頭を飾る「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」は、ビリー・テイラー作曲/ニーナ・シモンの歌唱で知られる公民権運動のアンセム。重厚なホーン隊とグルーヴィなリズム隊を従え、力強く高らかに歌い上げる。サム&デイヴの名曲をファンキーにカヴァーした「You Got Me Hummin'」(アイザック・ヘイズ&デヴィッド・ポーター作)、ウィリー・ディクスン作のブルースを骨太なジャズ・ファンクへと変貌させた「I Just Want To Make Love To You」など、名曲の脱構築が光る。

そして本作のハイライトと評されるのが、テキサスの名女性ソウル・シンガー、バーバラ・リンのナンバーをカヴァーした「I'm A Good Woman」である。疾走するドラム・ブレイク、うねるベース、鋭利なホーン・リフ、そしてリディアの鬼気迫るヴォーカルが完璧に噛み合った、ディープ・ファンク/レアグルーヴ界の永遠のフロア・キラーである。

後世への影響と評価

本作の成功により、コールド・ブラッドはベイエリアを代表するライヴ・アクトとしての地位を確立。リディア・ペンスは白人女性ソウル/ファンク・シンガーのパイオニアとして後進のヴォーカリストたちに多大な影響を与えた。

また、1990年代以降のレアグルーヴ/クラブ・ジャズ・シーンにおける再評価も著しく、「I'm A Good Woman」はLil Wayne feat. 2 Chainzのヒット曲「Days and Days」(2013年)をはじめヒップホップ世代にもサンプリングされ、新たなリスナーを獲得した。ロックとソウルの垣根を取り払い、情熱とファンク・スピリットを注ぎ込んだ永遠のマスターピースである。

トラックリスト

  1. A1 I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free 5:58
  2. A2 If You Will 5:35
  3. A3 You Got Me Hummin 5:47
  4. B1 I Just Want To Make Love To You 5:13
  5. B2 I'm A Good Woman 3:00
  6. B3 Let Me Down Easy 5:35
  7. B4 Watch Your Step 5:27

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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