Earth, Wind & Fire - Gratitude (1975)
Earth, Wind & Fire『Gratitude』(1975年)
Earth, Wind & Fireの『Gratitude』は、1975年11月に登場した2枚組のライヴ中心アルバムである。シカゴ、ロサンゼルス、セントルイス、アトランタ、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンD.C.など、複数都市で収録された演奏をまとめ、最後に新録のスタジオ曲を加えた構成になっている。バンドの勢いがそのまま記録された作品で、Earth, Wind & Fireが70年代半ばに到達したピークを示す1枚として扱われることが多い。
ライヴ盤でありながら、完成度の高い作品
このアルバムの面白さは、単なるライヴの記録に留まらない点にある。ライヴ音源が中心なのに、終盤に新曲が置かれることで、アルバム全体がひとつの作品としてまとまっている。プロデュースはMaurice WhiteとCharles Stepneyが共同で担当し、ライヴ収録自体はJoe Wissertが手がけた。スタジオ録音とライヴ録音が混在しているが、流れが途切れにくく、バンドの演奏力とアレンジ力の両方が前に出る構成になっている。
ライブ録音は複数都市にまたがるため、会場ごとの空気がそのまま詰め込まれている。ホーンの切れ味、リズム隊の推進力、コーラスの厚みが、どの場面でもよく揃っている。Earth, Wind & Fireらしい緻密さと、ライヴならではの熱量が同居しているのがこの作品の特徴だ。
代表曲「Sing a Song」と「Can’t Hide Love」
スタジオ新録の中でもまず触れておきたいのが「Sing a Song」である。軽快なグルーヴと明快なコーラスが前面に出た曲で、Hot Soul Songsで1位、Billboard Hot 100でも5位を記録した。バンドのポップな側面とソウル・ファンクの推進力が、かなり分かりやすい形でまとまっている。
続く「Can’t Hide Love」も重要な1曲だ。LPの表記ではサイドDで「Can’t Hide Love」となっているが、ジャケットやインナーでは「You Can’t Hide Love」と記されている。もともとEarth, Wind & Fireの中でもよく知られた楽曲で、ここではライヴと新録のあいだをつなぐ役割も担っている。後年まで演奏され続ける曲であり、この時期のバンドを語るうえで外せない存在だ。
アルバムの位置づけ
『Gratitude』は、Earth, Wind & Fireにとって商業的な成功をはっきり示した作品でもある。Billboard 200で3週1位、Top R&B/Hip-Hop Albumsで6週1位を記録し、全米で300万枚以上を売り上げた。グループの知名度が拡大していく局面で、ライヴの実力をそのまま提示した意味は大きい。
同時代のソウル/ファンクの中でも、Earth, Wind & Fireは演奏の密度とアレンジの整理が際立っている。同じ時代のファンク勢と比べても、リズムだけで押し切るのではなく、メロディとコーラスの設計がかなり細かい。ブラス・セクションの使い方や、曲の展開の作り方には、後のブラコンや80年代以降の洗練されたR&Bへつながる要素も見える。
収録曲とエピソード
この盤には、前年にMaurice WhiteがRamsey Lewisと制作した『Sun Goddess』に由来する「Sun Goddess」のライヴ演奏も入っている。こうした選曲からは、当時のEarth, Wind & Fireが自分たちのレパートリーだけでなく、周辺のソウル/ジャズ・ファンクの流れも取り込んでいたことが分かる。表題曲「Gratitude」もグラミー賞でノミネートされており、アルバム全体の評価を支える中心曲になっている。
また、ジャケットはゲートフォールド仕様で、歌詞とクレジットを載せた2枚のカンパニー・スリーブが付属していた。US盤のこの時期らしい作りで、レーベルはColumbia、カタログ番号はPG 33694。ランアウトには「T」が入り、The Mastering Labの刻印も確認できる。オリジナル盤としての情報がはっきりしている点も、この作品の資料価値を支えている。
耳で追える完成度
実際に聴くと、ライヴの熱気だけでなく、曲ごとの切り替えの滑らかさが印象に残る。歓声の中でもコーラスが埋もれにくく、ベースとドラムの動きが前に出る場面が多い。ホーンが入るところでは音の層が増え、スタジオ録音の曲では輪郭がよりはっきりする。大きな会場を埋めるバンドの音が、そのまま盤に落ちている感触がある。
『Gratitude』は、Earth, Wind & Fireのライヴ力、ソングライティング、アレンジの総合力をまとめた記録である。バンドの代表曲「Sing a Song」や「Can’t Hide Love」を含みながら、ライヴ盤としての一体感も保っている。70年代ソウル/ファンクの充実をそのまま封じ込めたタイトル、そんな位置づけの作品だ。
トラックリスト
- A1a Introduction 0:22
- Medley 5:58
- A2 Yearnin' Learnin' 4:18
- A3 Devotion 4:54
- B1 Sun Goddess 7:57
- B2 Reasons 8:27
- B3 Sing A Message To You 1:21
- C1 Shining Star 4:59
- C2 New World Symphony 9:47
- C3 Sunshine 4:18
- D1 Singasong 3:25
- D2 Gratitude 3:29
- D3 Celebrate 3:09
- D4 Can't Hide Love 4:12
動画プレイリスト
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Introduction by MC Perry Jones (Live)
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Africano / Power (Live)
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Yearnin' Learnin' (Live)
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Devotion (Live)
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Sun Goddess (Live)
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Reasons (Live)
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Sing a Message to You (Live)
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Shining Star (Live)
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New World Symphony (Live)
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Interlude, No. 1
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Earth, Wind & Fire - Sunshine (Audio)
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Earth, Wind & Fire - Sing a Song (Official Audio)
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Earth, Wind & Fire - Gratitude (Audio)
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Earth, Wind & Fire - Celebrate (Audio)
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Interlude, No. 2
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Earth, Wind & Fire - Can't Hide Love (Audio)