Primal Scream - Screamadelica (1991)
Primal Scream 1991

Primal Scream - Screamadelica (1991)

Electronic Rock Downtempo Indie Rock Dub House

Primal Scream『Screamadelica』(1991)レビュー

Primal Screamの『Screamadelica』は、1991年にUKのCreation Recordsから出たアルバムで、バンドの名前を大きく押し広げた作品として知られている。もともとグラスゴーで結成されたオルタナティブ・ロック・バンドが、ここでアシッド・ハウスやクラブ・カルチャーの感覚を取り込み、ロックとダンスの境目をはっきり曖昧にした。結果として、90年代初頭の英国音楽を語るうえで外せない一枚になった、という位置づけの作品だ。

ロック・バンドがクラブの感覚を取り込んだ転機

Primal Screamは1982年にグラスゴーで始まり、当初はギター・バンドとしての色が強かった。その流れの中で『Screamadelica』に至る頃には、単なるロックの延長ではない作り方が前面に出ている。制作にはAndrew Weatherallのようなクラブ寄りの感覚が深く関わり、楽曲をそのまま並べるのではなく、編集やリミックスの発想で組み立てたことがこのアルバムの核になっている。

オリジナルのUK盤は2枚組LPで、各面に1から4までの番号が振られたカスタム・ラベル仕様。グロッシーな見開きジャケットに、前面へ赤文字の「Primal Scream Screamadelica」が入った黄色の剥がせるステッカーが付いている。アナログ作品としての見せ方にも、当時の作品らしい手触りがある。

収録曲の中心にある代表曲たち

このアルバムを語るとき、やはり「Loaded」は外せない。後の代表曲として広く知られ、アルバム全体の方向性をわかりやすく示す一曲になっている。ロックのバンド演奏を土台にしながら、ダンス・ミュージック由来の反復や高揚感が前に出る作りで、当時の英国の空気とよく重なる。「Come Together」「Higher Than the Sun」「Don’t Fight It, Feel It」も、同じ一枚の中でそれぞれ違う角度から作品像を見せる楽曲群だ。

特に「Higher Than the Sun」は、アルバムの中でもクラブ的な広がりが強く出る曲として印象に残る。ゆったりした進行の中で音が積み重なっていく構成で、ロックのバンド演奏というより、空間を作る音楽として響く。「Loaded」は対照的に、より直接的で、アルバムの入口として機能している。

当時の英国シーンの中での意味

1991年の英国では、インディー・ロック、レイヴ、アシッド・ハウスの文脈が並走していた。『Screamadelica』はその交差点に置かれる作品で、The Stone RosesやHappy Mondaysと並べて語られることが多い。けれど、このアルバムは単に「マンチェスター・ムーブメント」の延長というより、ロックバンドがダンスの方法論を本格的に取り込んだ例として見たほうがわかりやすい。

批評面でも評価は高く、後年の回顧でも1990年代英国音楽の象徴的なアルバムとして扱われている。実際、翌1992年には第一回マーキュリー・ミュージック・プライズを受賞しており、同時代の中でも特に重要な一枚として受け止められていたことがわかる。UKアルバム・チャートでは最高8位を記録している。

作品の位置づけ

Primal Screamにとって『Screamadelica』は、単なる代表作というだけでなく、バンドの見え方そのものを変えたアルバムだと思う。初期のインディー・バンド的な印象から、クラブ文化と接続した実験性のあるロック・バンドへと、輪郭を大きく更新した作品だからだ。のちの作品群や、90年代以降の英国ロックに与えた影響も大きい。ロックとダンスを無理なく同居させた点で、このアルバムを基準に見返される作品は少なくない。

また、収録曲「I’m Comin’ Down」の最後に入る「Yep, I know THAT feelin’」という一節が、映画『Paris, Texas』(1984年)の台詞をサンプルしたものだとされている点も、この作品らしい。ロック・アルバムでありながら、引用や編集の感覚が自然に入り込んでいるところに、時代の変化がよく出ている。

まとめ

『Screamadelica』は、Primal Screamの中でも特別な意味を持つ1991年の作品で、ロックとダンスの接点をアルバム単位で提示した点が大きい。ギター・バンドの枠に収まらない構成、クラブ・カルチャーの感覚、代表曲の強さ、そのどれもがこの一枚の中でまとまっている。90年代初頭の英国音楽を振り返るとき、まず名前が挙がるアルバムのひとつだろう。

トラックリスト

  1. A1 Movin' On Up
  2. A2 Slip Inside This House
  3. A3 Don't Fight It, Feel It
  4. B1 Higher Than The Sun
  5. B2 Inner Flight
  6. B3 Come Together
  7. C1 Loaded
  8. C2 Damaged
  9. C3 I'm Comin' Down
  10. D1 Higher Than The Sun (A Dub Symphony In Two Parts)
  11. D2 Shine Like Stars

動画プレイリスト

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