Funkadelic - The Electric Spanking Of War Babies (1981)
Funkadelic『The Electric Spanking of War Babies』(1981)
Funkadelicの『The Electric Spanking of War Babies』は、1981年にUSのWarner Bros. Recordsから出た作品で、P-Funkの終盤を代表する1枚として語られることが多いアルバムだ。George Clintonを中心に展開してきたFunkadelicの流れの中でも、政治性と遊び心、そして過剰なまでの音像が同居した時期の記録になっている。1970年代にファンクの文法を大きく押し広げたこの一派が、1980年代に入ってなお、その手触りを保ちながら時代の空気へ踏み込んでいる点が重要だろう。
作品の立ち位置
Funkadelicは、同じくGeorge Clinton率いるParliamentと並んでP-Funk文化を形作ったバンドだが、本作はその流れの後期に置かれる。1970年代の大きな熱量を引き継ぎつつも、1981年という時点では、ファンクという形式そのものがすでに広く浸透していた。その中で本作は、単純なダンス・アルバムではなく、メディア、戦争、消費文化を題材にした言葉遊びと、P-Funk特有の分厚いアンサンブルを前面に出している。
タイトルの“Electric Spanking”という表現からも分かるように、露骨で挑発的な感覚は健在だ。実際、ジャケットを手がけたPedro Bellのアートワークも強い印象を残す。作品全体が、音だけでなく視覚面でもP-Funkの世界観を押し広げている。
サウンドと聴きどころ
このアルバムは、分厚いベース、細かく割り込むギター、シンセやホーンの配置が、曲ごとに密度を変えながら進んでいく。P-Funkの作品に共通する、リズムの粘りと編曲の多層性がはっきり出ている一方で、1980年代らしい録音の輪郭も感じられる。聴感としては、70年代の混沌をそのまま引きずるというより、要素を整理しつつ、なお過剰さを残した印象だ。
表題曲「The Electric Spanking of War Babies」は、この作品の核に置かれた楽曲だ。BillboardのR&Bチャートでも60位まで上昇しており、Funkadelic名義の後期シングルとしても位置づけられる。曲単体でも、P-Funkの持つ政治性と身体性が同時に立ち上がる。タイトルの段階でかなり強い含みを持たせているが、音のほうもその言葉に負けない押しの強さがある。
また、この時期のP-Funk作品らしく、参加メンバーの顔ぶれも豪華だ。Bootsy Collins、Bernie Worrell、Michael Hampton、Junie Morrisonら、P-Funk周辺で重要な役割を果たしてきた人物が名を連ねている。Sly Stoneが録音に参加し、「Funk Gets Stronger」でリードを務めた点も知られている。P-FunkとSlyの関係性を考えると、この参加は時代の接点を示すものでもある。
制作背景とエピソード
本作は、George Clintonが当初2枚組として構想していたものの、Warner Bros.側によって抑えられ、収録曲も絞り込まれたとされる。結果として、アルバムはよりコンパクトな形に収まったが、そのぶん各曲の輪郭ははっきりしている。ジャケットも、露骨な宇宙船イメージをめぐって修正を迫られた経緯があり、検閲への反発が作品の周辺情報として残っている。
クレジット面では、Pedro Bellによるアートワークが1980年版を基にした改訂版として1981年にまとめられている。内袋には白黒のプリント・インナーが付属し、ノート類も含まれている。制作に関わったスタジオやマスタリングの情報も明記されており、当時の大型ファンク作品らしい制作体制が見える。
USオリジナル盤について
このUS盤はWarner Bros. RecordsのBSK 3482で、1981年のオリジナルリリース。盤面の識別では、Allied pressing plant由来のバリエーションとして、ランオフにAlliedの“ɑ”ロゴやB-00000表記が確認できるタイプがある。ラベルは1980年代初頭のWarner Bros.らしいタン系のデザイン期にあたる。
再発盤との違いを語るなら、まずはこうしたプレス工場やランオフの表記が手がかりになる。オリジナル期のUS盤は、当時のWarner Bros.の仕様と、Alliedプレス特有の情報が重なる点がポイントになる。
同時代の文脈
1981年のファンク/ソウル周辺では、ディスコ以後の再編が進み、従来型のバンド・ファンクは新しいポップやR&Bの流れと並走していた。そんな中でFunkadelicは、単に流行へ寄せるのではなく、70年代から続くP-Funkの誇張された構造を維持していた。Parliament側や、同時代のSly Stone周辺を思わせる混線した感触もあり、ファンクの歴史が一つの成熟を迎えた後に、まだ別の方向へ伸びていく様子が見える。
結果として『The Electric Spanking of War Babies』は、Funkadelicのカタログの中でも、終盤の混乱と創造性が同居した作品として残っている。派手な外見だけで終わらず、戦争やメディアへの視線を含めて、P-Funkの方法論を1981年の時点まで引きずり込んだアルバムだと言える。
トラックリスト
- A1 The Electric Spanking Of War Babies 8:37
- A2 Electro-Cuties 6:10
- A3 Funk Gets Stronger (Part I) 6:37
- B1 Brettino's Bounce 3:38
- B2a Funk Gets Stronger (Killer Millimeter Longer Version) 4:26
- B2b She Loves You 0:16
- B3 Shockwaves 5:10
- B4 Oh, I 4:51
- B5 Icka Prick 4:07
動画
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The Electric Spanking of War Babies (2015 Remaster)
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Electro-Cuties (2015 Remaster)
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Funk Gets Stronger, Pt. 1 (2015 Remaster)
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Brettino’s Bounce (2015 Remaster)
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Funk Gets Stronger (Killer Millimeter Longer Version) / She Loves You (2015 Remaster)
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Shockwaves (2015 Remaster)
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Oh, I (2015 Remaster)
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Icka Prick (2015 Remaster)
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The Electric Spanking of War Babies (2015 Remaster)