Funkadelic - America Eats Its Young (1972)
Funkadelic 1972

Funkadelic - America Eats Its Young (1972)

Rock Funk / Soul Psychedelic Rock P.Funk

Funkadelic『America Eats Its Young』(1972) レビュー

Funkadelicの『America Eats Its Young』は、1972年にWestbound Recordsから出た4作目のアルバムで、同時に初の2枚組でもある。前年の『Maggot Brain』で強い印象を残したあと、メンバーの入れ替わりが進む中で作られた作品で、ブーツィー・コリンズが本格的に加わった初期の重要作としても位置づけられる。制作はデトロイトではなくトロントとイギリスで行われており、Funkadelicの作品の中でも制作環境が少し異なる。

このアルバムは、単なるファンク・ロックの延長ではなく、アメリカ社会そのものへの視線が前面に出ている。タイトルからして示唆的だが、内容もベトナム戦争帰還兵のヘロイン汚染が都市部に広がっていく状況を下敷きにした、かなり直接的な社会性を持つ。George Clintonは後年、自著で本作を「これまで作った中でも最も濃厚なシチューの一つ」と振り返っている。実際、曲ごとの表情の振れ幅が大きく、政治的な言葉、宗教的な引用、遊びの感覚が同居している。

作品の輪郭

収録曲は、1枚もののヒット作のように整理された流れではなく、2枚組らしく曲数も多い。中でもシングル「A Joyful Process」はR&Bシングルチャートで38位を記録している。派手に前へ出るタイプの代表曲というより、アルバム全体の中で機能する曲だが、ファンクのリズムとコーラスの押し出しがはっきりしていて、当時のFunkadelicらしい切れ味を持つ。

聴き進めると、ギターが前に出るロック寄りの場面と、ベースとドラムが深くうねるファンクの場面が交互に現れる。Eddie Hazel、Bootsy Collins、Bernie Worrellといった中核メンバーの存在感が大きく、そこに新旧の人員が入り混じることで、音の密度がかなり高い。P.Funkの文脈で語られることが多い作品だが、サイケデリック・ロックの側面もはっきりしている。

初回盤の特徴と当時の空気

1972年のオリジナル盤の初回プレスには大判ポスターが付属し、さらに一部には12ページのブックレットも入っていたという。2枚組という形式に加えて、視覚面でも情報量の多い作りだった。ライナーノーツには「Process Church of the Final Judgement」に触れる文章が引用されており、そこも当時の受け止められ方に影を落とした。Funkadelicは音楽だけでなく、パッケージや言葉の選び方まで含めて作品を組み立てていたことが分かる。

発売当時の評価は一枚岩ではなかった。1973年の批評では、ファンの一部が内容の一部を難しく受け止めたことや、2枚組として曲の粒が揃っていないという見方も出ている。長尺のアルバムでありながら、すべてを一気に聴かせる構成ではない、という反応は自然だろう。それでも、Funkadelicがこの時期にどこまで社会的な題材へ踏み込んでいたかを示す記録としては重要だ。

Funkadelicの中での位置づけ

Funkadelicは、George Clintonを中心にParliamentと並行して展開された70年代ファンクの中核的存在で、この時期のファンク文化を形作ったバンドのひとつ。ロックの歪んだギター、ソウル由来のコーラス、分厚いグルーヴをつないでいくやり方は、後のP-Funk系アーティストや、ファンクを土台にロックや実験性を取り込むバンド群にもつながっていく。ファンクを踊るための音楽だけでなく、社会批評や宇宙的なイメージまで含めて拡張していく流れの中で、このアルバムもその一角を占めている。

『America Eats Its Young』は、Funkadelicの中でも特に語る材料の多い作品だが、要点ははっきりしている。1972年の時点で、彼らがファンクをどこまで広げられるかを試していた記録。2枚組という形式、社会批評の視点、ブーツィー参加後の編成、そしてロックとファンクの接続。その重なりが、このアルバムの輪郭を作っている。

トラックリスト

  1. A1 You Hit The Nail On The Head 7:10
  2. A2 If You Don't Like The Effects, Don't Produce The Cause 3:43
  3. A3 Everybody Is Going To Make It This Time 5:50
  4. B1 A Joyful Process 6:10
  5. B2 We Hurt Too 3:47
  6. B3 Loose Booty 4:45
  7. B4 Philmore 2:40
  8. C1 Pussy 5:00
  9. C2 America Eats Its Young 5:45
  10. C3 Biological Speculation 3:00
  11. C4 That Was My Girl 3:41
  12. D1 Balance 5:25
  13. D2 Miss Lucifer's Love 5:50
  14. D3 Wake Up 6:20

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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