Funkadelic - Maggot Brain (1971)
Funkadelic『Maggot Brain』(1971)について
Funkadelicの『Maggot Brain』は、1971年にUSのWestbound Recordsから出た3作目のスタジオ・アルバムである。George Clintonを中心に、同じくClinton率いるParliamentと並んで70年代のファンク文化を形づくった重要な一枚。RockとFunk / Soulのあいだを行き来しながら、P.Funkとサイケデリック・ロックの要素を強く前面に出した作品として知られている。
録音はデトロイトで1970年末から1971年初頭にかけて行われ、リリースは1971年7月。アルバム発表後ほどなく、Tawl Ross、Eddie Hazel、Billy Nelson、Tiki Fulwoodがバンドを離れている。ジャケットは見開きのUnipak仕様で、表紙のモデルはBarbara Cheeseborough。盤のカタログ番号はWB-2007で、ラベル表記はWB 2007。
作品の中心にある10分超の表題曲
このアルバムを語るうえで、やはり表題曲「Maggot Brain」は外せない。10分を超える長尺のギター・ソロで知られ、George ClintonがギタリストのEddie Hazelに与えた指示から生まれた曲として広く知られている。Clintonは、母親が死んだと告げられたつもりで、感情をすべて出し切ったあと、実は生きていたと分かったような気持ちで弾いてほしいと伝えたという。
実際の演奏は、Eマイナー・ペンタトニックを軸に、ファズとワウを使ったギターがほぼ曲全体を担う構成。スポークン・イントロダクションのあと、Hazelのソロがひたすら続き、悲嘆から安堵へ移る流れを音だけで追っていく。録音物としては非常にシンプルだが、音の切り替えやフレーズの運びに細かい表情があり、10分間が単なる長回しに終わっていないところが印象に残る。
アルバム全体の輪郭
『Maggot Brain』は、表題曲の存在感が大きい一方で、バンドの粗さと実験性が同居したアルバムでもある。ファンクのリズム、サイケデリックな処理、ブルース寄りのギター感覚が近い距離で並び、整った統一感よりも、場面ごとの温度差が前に出る。Funkadelicらしい、骨太なグルーヴと崩れた感触が同居する作りである。
同時代のファンクやソウルと比べると、ここでは踊らせる機能だけでなく、ロック的な演奏の押し出しが強い。James Brown系統のタイトなファンクとも、当時の一般的なサイケデリック・ロックとも少し距離がある。FunkadelicとParliamentをまたぐGeorge Clintonの活動の中でも、この時期はファンクをバンド・サウンドとして拡張していく流れの中にある。
位置づけと周辺の文脈
Funkadelicは1970年代に最も大きな存在感を示したバンドで、1997年にはRock and Roll Hall of Fameにも殿堂入りしている。『Maggot Brain』は、その初期の中核にある作品として扱われることが多い。特に表題曲は、後年のギタリストやロック・リスナーにも強く意識される曲になった。Rolling Stone誌の「史上最も偉大なギター・ソング100選」に入ったことも、その評価の広がりを示す一例である。
この曲が残したものは、速弾きや技巧の誇示ではない。長いソロの中で、音数を増やすよりも、伸ばし方や間の置き方で感情を運ぶ構成。Funkadelicの他の楽曲と比べても、ここまでギターが前景に出る例ははっきりしている。アルバム全体を通して聴くと、荒さのある録音、メンバーの入れ替わり、即興性の強さが、そのまま作品の輪郭になっている。
まとめ
『Maggot Brain』は、Funkadelicのサイケデリックで実験的な側面を強く刻んだ1971年のアルバムである。タイトル曲の10分超のギター・ソロはもちろん、アルバム全体にも、当時のファンクがロックの領域へ踏み込んでいく気配が濃く出ている。Westbound Recordsからのオリジナル盤として出たこの作品は、70年代ブラック・ミュージックの文脈だけでなく、ロック史の中でもしばしば参照される一枚になっている。
トラックリスト
- A1 Maggot Brain 10:10
- A2 Can You Get To That 2:45
- A3 Hit It And Quit It 3:44
- A4 You And Your Folks, Me And My Folks 3:29
- B1 Super Stupid 3:53
- B2 Back In Our Minds 2:35
- B3 Wars Of Armageddon 9:28