The Big Dish - Creeping Up On Jesus (1988)
The Big Dish『Creeping Up On Jesus』(1988)
スコットランド出身のポップロック・バンド、The Big Dishが1988年に発表した2作目のアルバムが『Creeping Up On Jesus』である。1983年にAirdrieで結成されたこのバンドは、メンバーの入れ替わりを重ねながら活動し、1986年から1991年にかけて3枚のアルバムを残した。本作はその中でも、初期の活動を代表する一枚として位置づけられる作品だ。
このアルバムはVirginからヨーロッパ盤としてリリースされ、1988年のオリジナル作品として扱われる。レコードはゲートフォールド仕様で、内袋は白い無地の紙袋、片面はダイカットになっている。ランアウトはスタンプ刻印で、当時のプレス物らしい作りになっている。
バンドの流れの中での位置づけ
The Big Dishは、同時代のスコットランド産ポップロックの文脈で語られることが多い。1980年代後半の英国では、メロディを前面に出したギターポップや、洗練されたポップロックが一定の存在感を持っていたが、この作品もその流れの中にある。後年の回想では、Deacon BlueやDanny Wilsonと並べて語られることがあり、同じくスコットランド発のバンドとして比較されやすい。
ただし商業的には大きく跳ねた作品ではない。Official Chartsでは、バンドのアルバムとしてチャート入りした作品は1枚のみとされ、このアルバムもTop 75入りはしたものの、長期的なヒットには結びつかなかった。先行シングル「European Rain」もUKシングル・チャートで最高78位で、派手な成功というよりは、一定の認知を得た段階にとどまっている。
作品の評価と当時の受け止め
1988年9月の『Music & Media』では、本作はスコットランド産ポップロックとして紹介され、Deacon BlueとDanny Wilsonの中間のようだと評された。一方で、内容面では前作『Swimmer』の延長線上にあるという見方も示され、作品全体が大きな話題を呼ぶタイプではない、という受け止め方だった。とはいえ、同レビューでは「Burn」と「European Rain」が注目曲として挙げられており、楽曲単位では評価されていたことがわかる。
後年のAllMusicの要約でも、本作は勢いを得きれず、バンドがVirginを離れる流れにつながったとされる。つまり『Creeping Up On Jesus』は、良い曲を含みながらも、バンドの大きな飛躍には結びつかなかったアルバムとして記憶されている。
収録曲の印象
公開されているレビューで具体的に触れられているのは「Burn」と「European Rain」だ。とくに「European Rain」はシングルとして先行し、アルバムの顔のひとつになっている。チャート上の結果は大きくないが、当時の英国ポップロックらしい、メロディを押し出した作りが見える楽曲として扱われている。「Burn」も含め、曲単位では耳に残る部分がある、というのが当時からの見方だったようだ。
実際に聴くと、派手な展開で引っ張るよりも、歌とギターの配置で曲を進めるタイプの作品としてまとまっている。1980年代後半のVirgin所属バンドらしい、きっちり整えられたサウンドの中で、Steven Lindsayの書くメロディが前に出る構成だ。強い一撃で押すというより、曲を重ねて印象を残すタイプのアルバムと言えそうだ。
Virgin期の1988年盤として
1988年のVirgin盤は、同レーベルの後期らしいグレイホワイト系のラベル期にあたる。Virginは1970年代から独立系レーベルとして始まり、1980年代にはポップ、ロックの両面で多くの作品を抱えていた。本作もその流れの中の一枚で、英国ポップロックの中堅どころを支えたVirginらしいカタログの一部として見ることができる。
The Big Dishにとっては、デビュー作から一歩進んだ時期の記録であり、同時に、バンドの評価が曲の良さと商業的な伸びの間で揺れていたことを示す作品でもある。1988年という年の英国ポップロックの空気を、そのまま閉じ込めたようなアルバムとして残っている。
トラックリスト
- A1 Life
- A2 Waiting For The Parade
- A3 Faith Healer
- A4 Burn
- A5 Swansong
- B1 European Rain
- B2 Jean
- B3 Monday
- B4 Wishing Time
- B5 Where Do You Live